日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

Periodontal Medicine

一般演題ポスター
Periodontal Medicine(基礎)

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-009~P-018
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-015] 高齢者の血管内皮細胞に対する血清アミロイドA(SAA)の応答

Response of the serum amyloid A for the vascular endothelial cell of elderly person

田井 康寛,尾崎 友輝,髙橋 晋平,中村 卓,石岡 康明,岩崎 拓也,石原 裕一,吉成 伸夫/Yasuhiro Tai,Yuki Ozaki,Shinpei Takahashi,Suguru Nakamura,Yasuaki Ishioka,Takuya Iwasaki,Yuichi Ishihara,Nobuo Yoshinari (松本歯科大学歯科保存学講座/matsumoto dental Univ.)

研修コード:2402

キーワード:動脈硬化症、細胞培養、血管内皮細胞、血清アミロイドA、老化関連遺伝子

【目的】近年,炎症によるCRP,SAA血中濃度の増加とアテローム性動脈硬化症との関連が報告されている。しかし,歯周病から動脈硬化症を通して老化へ至る経路は不明である。我々は,ヒト大動脈血管内皮細胞(HAECs)にSAA刺激を行い,SAAレセプター,接着因子の発現への影響を報告した。今回,高齢者のHAECsにSAA刺激を行い,血管内皮細胞が発現する老化関連遺伝子を検討した。
【材料および方法】HAECsはLONZA社より購入した。若年者(21,27歳)及び高齢者(81歳)のHAECsにSAA(25μg/ml)を添加し,10,20日間経過後に細胞を回収しTotal-RNAを抽出した。その後,real-time PCR法にてSAAレセプター,接着因子(ICAM1, VCAM1),単球走化因子MCP1,老化関連遺伝子(p53,p21,RIPK2)のmRNA発現を解析した。
【結果】SAA添加により若年者,高齢者ともにSAAレセプター,接着因子のmRNA発現が上昇した。しかし老化関連遺伝子の発現は様々な様相を呈した。
【考察および結論】歯周炎病変部で産生されたIL-6を介して産生されるSAAにより,血管内皮細胞が刺激され,SAA受容体のTLR2の発現が上昇することにより各接着因子のmRNA発現が上昇し,動脈壁へのマクロファージの浸潤から動脈硬化症が進行,さらには老化関連遺伝子にも影響を与える可能性が示唆された。
なお,本研究は「松本歯科大学動物実験室運営委員会」の承認(承認番号310)を得て実施した。