日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

Periodontal Medicine

一般演題ポスター
Periodontal Medicine(基礎)

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-009~P-018
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-016] 実験的歯周炎マウスモデルにおける海馬領域の炎症反応

Inflammatory response in Hippocampal region induced by experimental periodontitis in mice

古玉 大祐1,松田 真司1,藤田 剛1,山脇 洋輔2,加治屋 幹人1,畑野 紗希1,岡信 愛1,水野 智仁1,兼松 隆2,栗原 英見1/Daisuke Furutama1,Shinji Matsuda1,Tsuyoshi Fujita1,Yousuke Yamawaki2,Mikihito Kajiya1,Saki Hatano1,Ai Okanobu1,Noriyoshi Mizuno1,Takashi Kanematsu2,Hidemi Kurihara1 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科歯周病態学研究室1,広島大学医歯薬保健学研究院基礎生命科学部門細胞分子薬理学研究室2/Department of Periodontal Medicine, Graduate School of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University1,Hiroshima University Department of Cellular and Molecular Pharmacology2)

研修コード:2504

キーワード:慢性炎症、海馬領域の炎症、実験的歯周炎マウスモデル

【目的】高齢化の進行に伴いアルツハイマー病(AD)患者数は増加している。ADは患者本人だけでなく,家族や,社会にとっても大きな問題であり,そのメカニズムの解明,治療法開発が急がれている。全身の慢性炎症は脳内で炎症を誘引し,βアミロイドの沈着や一酸化窒素(NO)の産生を促す。その結果,神経変性や細胞死が誘導されAD発症の素因になると考えられている。このことは歯周炎のAD発症への影響を示唆する。歯周治療によってAD発症を遅らせることが出来れば,歯周治療が社会に与える影響は極めて大きい。本研究では歯周炎と脳の炎症との関連について詳細に解明することを目的として以下の実験を行った。
【材料と方法】実験は6-8週齢のc57BL/6の雌マウスを用いた。歯周炎は5-0絹糸を3日,1,2,3,4週間上顎両側第二大臼歯に結紮し発症させた。歯周炎モデル群と非結紮群の歯肉と海馬中のIL-1β,IL-6,アミロイドβ前駆タンパク質(APP),NO関連分子(NOS2)のmRNA発現をリアルタイムPCRにて確認した。
【結果と考察】歯肉の炎症性サイトカインのmRNAの発現は結紮3日後に非結紮群と比較し有意に上昇していた。海馬中のIL-1βは結紮1週間後に,IL-6は結紮4週間後に非結紮群と比較し上昇した。APPは結紮2週間以降4週まで時間依存的に上昇した。NOS2は結紮4週間後に大きく上昇していた。
【結論】本研究の結果から歯周炎モデルマウスにおいて歯肉組織中の慢性的な炎症性サイトカインの上昇が見られ,同時に海馬領域においても持続的な炎症反応が惹起され,βアミロイドの沈着やNOが産生されることが示唆された。