日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

Periodontal Medicine

一般演題ポスター
Periodontal Medicine(臨床)

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-019~P-024
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-023] メンテナンス中の歯の喪失に精製糖質摂取過剰による歯ぎしりが関与

Excessive carb intake may cause bruxism and tooth loss during tooth maintenance.

篠原 啓之/Hiroyuki Shinohara (エス・デンタルクリニック/Es dental clinic)

研修コード:2305

キーワード:メンテナンス、歯の喪失、歯ぎしり、糖質摂取過剰

【目的】これまで演者らは,メンテナンス中に歯を失くす最大の原因が歯の破折で,これは過去の糖質過剰によるう蝕と,現在の糖質過剰による歯ぎしりが関与し,歯の喪失を予防するためには,炎症と力のコントロール以上に「糖質のコントロール」が重要であると示唆した。
今回,メンテナンス中の患者さんの食事内容の調査と食事指導を行い,指導前後の歯軋りによる口腔内所見,即ち,咬合線・舌痕・骨隆起等を調査すると共に歯周ポケット率,歯肉出血率,歯の動揺度の変化について調査し,糖質摂取コントロールが,歯軋りの改善と歯の喪失阻止に関与しうるか否かを検討した。
【方法】当院でメンテナンスをされ調査の趣旨に同意した患者さんに対し,毎日の食事内容,間食,食事時刻および体調を記載して頂いた。歯周ポケットと歯肉出血,歯の動揺,咬合線や舌痕,骨隆起などの歯軋りの所見を記録し,食事内容と歯軋りや炎症の関係について調べた。
【結果】①糖質摂取過剰の食生活が改善されなかったグループ:食事内容が食事指導前と同様に,白米・パン・麺類などの精製糖質摂取量が多く,肉魚などのタンパク質摂取量が少ない患者の多くは,指導前と同様に咬合線や舌痕が著しく,歯軋りの改善傾向が見られなかった。
②糖質摂取過剰の食生活が改善されたグループ:精製糖質である白米の摂取量を少なくしたりパンを止めた方の多くで,歯周組織の改善と歯軋り所見の減少が見られた。以上の所見から,精製糖質,特にパンなどのGI値の高い糖質を食べることで起こるグルコーススパイクの代償として夜間に起こす異常な食いしばりや歯ぎしりが,歯のメンテナンス中の歯の喪失に影響していることが示唆された。