60th Annual Meeting in Autumn

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一般演題ポスター

微生物

一般演題ポスター
微生物(臨床)

Sat. Dec 16, 2017 9:00 AM - 5:00 PM ポスター会場 (さくら)

P-035~P-045
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-042] フランス海岸松樹皮抽出物による口腔バイオフィルム形成抑制効果の検討

Inhibitory effects of French pine bark extract on dental biofilm formation

渡辺 清子1,平嶺 浩子2,遠山 歳三1,佐々木 悠1,稲葉 啓太郎1,浜田 信城1/Kiyoko Watanabe1,Hiroko Hiramine2,Toshizo Toyama1,Haruka Sasaki1,Keitaro Inaba1,Nobushiro Watanabe1 (神奈川歯科大学大学院歯学研究科 口腔科学講座 微生物感染学分野1,神奈川歯科大学大学院歯学研究科 高度先進口腔医学講座2/Division of Microbiology, Department of Oral Science, Kanagawa Dental University Graduate School of Dentistry1,Department of Highly Advanced Stomatology, Kanagawa Dental University Graduate School of Dentistry2)

研修コード:2203

Keywords:口腔バイオフィルム、フランス海岸松抽出物、抗菌活性、Streptococcus mutans、Porphyromonas gingivalis

【目的】ピクノジェノール®(PYC)は,フランス海岸松の樹皮から抽出される抗酸化作用および抗炎症作用を有する植物由来生理活性物質である。本研究では,種々の口腔細菌に対するPYCの抗菌活性について検討するとともに口腔バイオフィルム形成抑制効果について検討した。
【材料および方法】供試菌株としてグラム陽性細菌6菌種およびグラム陰性細菌5菌種を用いた。抗菌効果の測定は,種々の濃度のPYC液に細菌を添加し10分間作用させた後,BHI血液寒天培地に塗抹し生菌数を算定して求めた。バイオフィルム形成に対するPYCの抑制効果は,比色法および生菌数測定により検討し,カバーグラス上で作製したバイオフィルムについては,LIVE/DEAD染色を行うことにより評価した。また,P. gingivalisと他菌種との共凝集に対する抑制効果は肉眼的に判定した。
【結果および考察】各被験菌に対して,PYC 1mg/ml 処理により明らかな生菌数の減少が認められた。特にグラム陰性桿菌に対しての活性は高く,濃度依存的にP. gingivalisおよびA. actinomycetemcomitansのバイオフィルム形成を抑制した。S. mutansはカバーグラス上で強固なバイオフィルムを形成したが,PYC添加により顕著な菌体の付着阻害が認められた。また,P. gingivalisと他菌種との共凝集もPYCの濃度依存的に抑制が認められた。以上の結果から,フランス海岸松樹皮抽出物は種々の細菌に対して抗菌活性を有しバイオフィルム形成を抑制することにより,歯垢の形成や成熟を抑制する可能性が示唆された。