日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

微生物

一般演題ポスター
微生物(臨床)

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-035~P-045
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-044] Helicobacter pyloriの除菌治療に伴う口腔内環境の変化

Changes of oral environment by elimination of Helicobacter pylori

樋口 拓哉2,谷口 奈央1,別府 理智子3,竹下 徹4,米田 雅裕2,山下 喜久4,埴岡 隆1,篠原 徹雄3,廣藤 卓雄2/Takuya Higuchi2,Nao Taniguchi1,Richiko Beppu3,Toru Takeshita4,Masahiro Yoneda2,Yoshihisa Yamashita4,Takashi Hanioka1,Tetsuo Shinohara3,Takao Hirofuji2 (福岡歯科大学口腔保健学講座1,福岡歯科大学総合歯科学講座2,福岡歯科大学総合医科学講座3,九州大学大学院歯学研究院 口腔保健推進学講座4/Department of Preventive and Public Health Dentistry, Fukuoka Dental College1,Department of General Dentistry, Fukuoka Dental College2,Department of General Medicine, Fukuoka Dental College3,Section of Preventive Dentistry, Division of Oral Health, Growth and Development, Kyushu University Faculty of Dental Science4)

研修コード:3001

キーワード:口臭、揮発性硫黄化合物、ヘリコバクターピロリ、プロービング時出血

【目的】Helicobacter pylori(HP)は胃粘膜に持続感染し,上部消化管における慢性炎症性疾患の原因となる。本研究ではHP感染が口腔領域に与える影響を明らかにするために,胃内HP陽性患者に対し除菌治療前後の口腔内環境の変化を調べた。
【方法】上部消化管内視鏡検査での生検による迅速ウレアーゼテストにてHPが確認された患者に対し一次除菌法としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)+アモキシシリン+クラリスロマイシンを1週間投与した。また一次除菌法失敗の患者に対し二次除菌法としてPPI+アモキシシリン+メタロニダゾールを1週間投与した。除菌開始前,服薬終了時,除菌確認時に口臭検査と口腔内診査を実施し,採取した唾液と舌苔の細菌叢解析を行った。
【結果と考察】分析対象者12名における変化を調べたところ,服薬終了時に殆どの検査項目が除菌前に比べて有意に減少した。除菌成功時には口臭検査値,歯周ポケット,プロービング時出血(BOP)が除菌前に比べて低かった。口腔細菌叢は服薬終了時に大きく変化し除菌成功時には除菌前の状態に回復した。続いて一次除菌法の成功群9名と失敗群3名を比較したところ,口臭検査値はともに減少しており,除菌成功と口臭改善との関連は示されなかった。口腔内診査では,除菌失敗群で一次除菌法の確認時にBOPが改善せず除菌成功時に改善したことから,除菌成功とBOP改善との関連が示唆された。
【結論】HP除菌治療において抗菌薬が口腔内環境を大きく変化させた。HP除菌の成功失敗に関係なく口臭が減少した。HP除菌失敗例でBOP改善がみられなかった。