[P-073] 日本人における侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子探索
Identification of Genetic Risk Factors of Aggressive Periodontitis in a Japanese Population
研修コード:2299
Keywords:侵襲性歯周炎、疾患関連遺伝子、PON1、歯根膜細胞
【目的】侵襲性歯周炎(AgP)の特徴の一つに家族内集積が挙げられることから,本疾患の発症には遺伝的要因の関与が示唆されている。疾患発症要因の一つに炎症性サイトカイン等の一塩基多型(SNP)が示唆されているが,未だその詳細は解明されていない。そこで本研究ではエクソーム解析により,日本人におけるAgPの疾患関連遺伝子の探索ならびに機能解析を行った。
【方法と結果】大阪大学歯学部附属病院にてAgPと診断された患者のうち,本研究への参加に同意された44名を対象にエクソーム解析を実施した(大阪大学ヒトゲノム研究承認番号629-2)。その結果,対照群と比較してSNPの出現頻度に統計学的有意差(p<0.05)を有する遺伝子8個を抽出した。その一つパラオキソナーゼ1(PON1)のSNP rs854560(p=0.019)は,冠動脈疾患,骨粗鬆症のみならず歯周病との関連も報告がある。そこでヒト歯根膜細胞(HPDL)の硬組織形成細胞への分化過程におけるPON1の機能解析を目的とし,HPDLに野生型PON1を遺伝子導入し,石灰化関連因子の発現をリアルタイムPCR法にて検討した。その結果,PON1は石灰化関連因子の発現を上昇させた。さらにHPDLにPON1選択的阻害薬2-ヒドリキシキノリン(2HQ)を添加し長期培養を行った結果,2HQは濃度依存的に同上石灰化関連因子の発現および石灰化物の沈着を減少させた。
【結論】エクソーム解析により,PON1のSNP rs854560を日本人AgPの疾患関連遺伝子として同定した。また当該遺伝子の機能解析の結果,PON1はHPDLの骨芽細胞への分化を促進させることを見出した。
【方法と結果】大阪大学歯学部附属病院にてAgPと診断された患者のうち,本研究への参加に同意された44名を対象にエクソーム解析を実施した(大阪大学ヒトゲノム研究承認番号629-2)。その結果,対照群と比較してSNPの出現頻度に統計学的有意差(p<0.05)を有する遺伝子8個を抽出した。その一つパラオキソナーゼ1(PON1)のSNP rs854560(p=0.019)は,冠動脈疾患,骨粗鬆症のみならず歯周病との関連も報告がある。そこでヒト歯根膜細胞(HPDL)の硬組織形成細胞への分化過程におけるPON1の機能解析を目的とし,HPDLに野生型PON1を遺伝子導入し,石灰化関連因子の発現をリアルタイムPCR法にて検討した。その結果,PON1は石灰化関連因子の発現を上昇させた。さらにHPDLにPON1選択的阻害薬2-ヒドリキシキノリン(2HQ)を添加し長期培養を行った結果,2HQは濃度依存的に同上石灰化関連因子の発現および石灰化物の沈着を減少させた。
【結論】エクソーム解析により,PON1のSNP rs854560を日本人AgPの疾患関連遺伝子として同定した。また当該遺伝子の機能解析の結果,PON1はHPDLの骨芽細胞への分化を促進させることを見出した。