日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

骨・硬組織

一般演題ポスター
骨・硬組織

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-069~P-078
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-076] Osterix-Msx2転写複合体はWntアンタゴニスト FRZBの発現を制御する

The transcriptional complex of Osterix and Msx2 regulates expression of a Wnt antagonist FRZB.

八木 寛子1,2,村上 智彦2,高畑 佳史2,波多 賢二2,西村 理行2,村上 伸也1/Hiroko Yagi1,2,Tomohiko Murakami2,Yoshihumi Takahata2,Kenji Hata2,Riko Nishimura2,Shinya Murakami1 (大阪大学大学院歯学研究科口腔治療学教室1,大阪大学大学院歯学研究科生化学教室2/Department of Periodontology, Osaka University Graduate School of Dentistry1,Department of Molecular and Cellular Biochemistry, Osaka University Graduate School of Dentistry2)

研修コード:2206

キーワード:転写因子、Osterix、Msx2、変形性関節症

【目的】骨あるいはセメント質などの歯周組織の形成に関与する古典的Wntシグナルは,関節軟骨においては変形性関節症(OA)を誘発すると報告されている。更に,Wntアンタゴニスト frizzled-related protein B(FRZB)はOA疾患感受性遺伝子として同定された。そこで本研究ではFRZBはOA創薬標的と考え,FRZBの発現制御機構を解明し,OA治療薬開発に寄与することを目指した。
【方法】生後0日齢C57BLマウスおよび生後4日齢ICRマウスを用いて,生体におけるFrzbの発現をRT-qPCR法にて検討した。FRZBの発現制御機構は,ヒト軟骨細胞様株SW1353を用い,RT-qPCR法,レポーターアッセイ,クロマチン免疫沈降法および免疫共沈降法により解析した。
【結果および考察】マウスではFrzbは関節軟骨細胞において著明な発現を示し,OA様病態を誘発するIL-1αにより顕著に抑制された。SW1353細胞において,FRZBの発現はBMP2/Smadシグナルを介して誘導された。更にFRZBの発現は転写因子OsterixおよびMsx2の過剰発現により増加した。BMP2誘導性FRZB発現上昇は,OSTERIXならびにMSX2のノックダウンにより阻害された。また,FRZB遺伝子プロモーター領域へのOsterixおよびMsx2の結合がFRZB遺伝子転写活性を促進すること,更にOsterixとMsx2が結合することを認めた。以上から,FRZBは関節軟骨の恒常性維持に関与し,その遺伝子発現はOsterixおよびMsx2からなる転写複合体により制御される可能性が示唆された。