[P-080] 脳由来神経栄養因子(BDNF)を用いた非外科的歯周治療に関する組織学的研究
Effects of brain-derived neurotrophic factor(BDNF)as an adjunct to non-surgical periodontal treatment on ligature-induced periodontitis in dogs
研修コード:2504
Keywords:脳由来神経栄養因子(BDNF)、歯周治療、in vivo
【目的】脳由来神経栄養因子(BDNF)の歯周組織再生における有用性が明らかになってきた。さらに,BDNFは歯周組織再生を阻害する上皮細胞のアポトーシスを誘導することが示された。これらの特性から,BDNFが軽度歯周炎に対する非外科的組織再生治療に有効であると仮説を立てた。本研究では,小規模歯周組織欠損を想定したビーグル犬絹糸結紮歯周炎モデルを用いて,BDNFの非外科的歯周治療による歯周組織再生効果を組織学的に検討することとした。
【材料と方法】ビーグル犬(12~20カ月齢)の下顎第2~4前臼歯に絹糸結紮歯周炎モデルを作製した。SRP後にBDNF(500μg/ml)/高分子ヒアルロン酸(HA)複合体を歯周ポケットに投与した。対照群は,無処置群,SRPのみ行う群,SRP後にHAを投与する群とした。BDNF投与2週間後に灌流固定を行い,組織標本を作製した。切片作製後,HE染色,アザン染色,免疫組織化学染色を行い,組織を観察した。対象とした分子は,骨-セメント質関連タンパクのオステオポンチン(OPN)と,BDNFの高親和性受容体TrkBである。
【結果と考察】BDNF群では対照群と比較し,上皮の根尖側への増殖が抑制され,炎症性細胞浸潤は最も軽度であった。また,コラーゲン線維の埋入を伴う新生セメント質および新生骨が観察された。歯根面や新生セメント質,新生骨に接する細胞はTrkBとOPNに陽性反応を示した。
【結論】小規模歯周組織欠損部の歯周ポケット内へ局所投与されたBDNFは,炎症制御能,組織再生促進能を発揮し,軽度の歯周組織破壊を非外科的に再生できる可能性が示唆された。
【材料と方法】ビーグル犬(12~20カ月齢)の下顎第2~4前臼歯に絹糸結紮歯周炎モデルを作製した。SRP後にBDNF(500μg/ml)/高分子ヒアルロン酸(HA)複合体を歯周ポケットに投与した。対照群は,無処置群,SRPのみ行う群,SRP後にHAを投与する群とした。BDNF投与2週間後に灌流固定を行い,組織標本を作製した。切片作製後,HE染色,アザン染色,免疫組織化学染色を行い,組織を観察した。対象とした分子は,骨-セメント質関連タンパクのオステオポンチン(OPN)と,BDNFの高親和性受容体TrkBである。
【結果と考察】BDNF群では対照群と比較し,上皮の根尖側への増殖が抑制され,炎症性細胞浸潤は最も軽度であった。また,コラーゲン線維の埋入を伴う新生セメント質および新生骨が観察された。歯根面や新生セメント質,新生骨に接する細胞はTrkBとOPNに陽性反応を示した。
【結論】小規模歯周組織欠損部の歯周ポケット内へ局所投与されたBDNFは,炎症制御能,組織再生促進能を発揮し,軽度の歯周組織破壊を非外科的に再生できる可能性が示唆された。