[SY2-2] 私の学んだアメリカの歯周病学から,専門的歯周病治療を考える
研修コード:2111
略歴
1981年 東京歯科大学卒業
1981〜84年 同歯科麻酔学教室
1994〜97年 タフツ大学歯学部歯周病学大学院(Postgraduate Program in Periodontology, Tufts University School of Dental Medicine)
1997年 アメリカ歯周病専門医(Certificate in Periodontology)
2003年 アメリカ歯周病学ボード認定専門医(Diplomate, American Board of Periodontology)
2006年〜 東京歯科大学水道橋病院臨床教授
2008年〜 東京医科歯科大学歯周病学分野非常勤講師
2015〜17年 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 理事長
1981年 東京歯科大学卒業
1981〜84年 同歯科麻酔学教室
1994〜97年 タフツ大学歯学部歯周病学大学院(Postgraduate Program in Periodontology, Tufts University School of Dental Medicine)
1997年 アメリカ歯周病専門医(Certificate in Periodontology)
2003年 アメリカ歯周病学ボード認定専門医(Diplomate, American Board of Periodontology)
2006年〜 東京歯科大学水道橋病院臨床教授
2008年〜 東京医科歯科大学歯周病学分野非常勤講師
2015〜17年 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 理事長
演者は卒後10年の一般臨床経験を経て,アメリカで歯周病専門医を取得すべく,1994年から3年間,タフツ大学歯学部歯周病学大学院(Postgraduate Program in Periodontology, Tufts University School of Dental Medicine)に学び,帰国後は歯周治療,インプラント治療を中心とした医院を開業している。
留学以前は日本で歯周病学を専門的に学んだ経験はなく,その意味では白紙の状態で臨み,さらに英語のハンディキャップもある中,脱落しないように必死で歯周病学に打ち込んだ3年間だった。帰国後は,開業のかたわら,2000年より現在に至るまで歯周病卒後研修コースの講師を勤め,また2006年よりは大学で学生,若手歯科医師の教育の機会を与えていただき,その意味では日米の歯周病教育,臨床のプラス面,マイナス面のそれぞれを理解しているつもりである。
教育の面からアメリカでのプログラムで最初に目を見開かされたのは,すべての教育がEvidenceを基本に組み立てられていることだった。Evidence basedの治療をするためにEvidenceに精通することが求められる。したがって一年目には膨大な量の文献と格闘することになった。またクリニックでは実際に患者さんを治療する中で多くのファカルティとその考え方に触れ,その中で自らの“Clinical Philosophy”を築くことがゴールであった。アメリカの卒後プログラムでは3年間という決まった年限の中で「歯周病専門医」を養成するために,ADA(アメリカ歯科医師会),AAP(アメリカ歯周病学会)のリクワイアメントに添いつつ,学生の自主性を尊重した教育が行われていた。
治療の点では,この20年間で歯周治療の世界は大きく変わったと言える。私が学んだ90年台後半では,トラディショナルなApically positioned flap(根尖側移動術)を行うことも多かったが,その後歯周治療の臨床は大きくインプラトにシフトしていった。これは歯周病のBiologyを考えれば,歯周外科の必然性が以前より下がるのは当然である反面,過剰なインプラントへのシフトであると演者は感じている。さらにAAPでは,インプラントを含む学会名称変更が再度取りざたされている。
基本的には患者をGPや補綴専門医からの紹介で得,比較的短期間で治療を終え紹介元に送り返さないといけないアメリカに比べ,わが国では歯周病の担当医が補綴や他の分野も手がけるため長期的に患者を診ることができるのは,この国で歯周治療を手がける醍醐味といえるだろう。反面,Evidenceに沿った考え方,またテクニック的にはPlastic surgeryやTissue managementの点では欧米に少し見劣りするのではと感じている。
本シンポジウムでは,日米で学んだ経験から専門的歯周治療についてどうあるべきかを考えていきたい。
留学以前は日本で歯周病学を専門的に学んだ経験はなく,その意味では白紙の状態で臨み,さらに英語のハンディキャップもある中,脱落しないように必死で歯周病学に打ち込んだ3年間だった。帰国後は,開業のかたわら,2000年より現在に至るまで歯周病卒後研修コースの講師を勤め,また2006年よりは大学で学生,若手歯科医師の教育の機会を与えていただき,その意味では日米の歯周病教育,臨床のプラス面,マイナス面のそれぞれを理解しているつもりである。
教育の面からアメリカでのプログラムで最初に目を見開かされたのは,すべての教育がEvidenceを基本に組み立てられていることだった。Evidence basedの治療をするためにEvidenceに精通することが求められる。したがって一年目には膨大な量の文献と格闘することになった。またクリニックでは実際に患者さんを治療する中で多くのファカルティとその考え方に触れ,その中で自らの“Clinical Philosophy”を築くことがゴールであった。アメリカの卒後プログラムでは3年間という決まった年限の中で「歯周病専門医」を養成するために,ADA(アメリカ歯科医師会),AAP(アメリカ歯周病学会)のリクワイアメントに添いつつ,学生の自主性を尊重した教育が行われていた。
治療の点では,この20年間で歯周治療の世界は大きく変わったと言える。私が学んだ90年台後半では,トラディショナルなApically positioned flap(根尖側移動術)を行うことも多かったが,その後歯周治療の臨床は大きくインプラトにシフトしていった。これは歯周病のBiologyを考えれば,歯周外科の必然性が以前より下がるのは当然である反面,過剰なインプラントへのシフトであると演者は感じている。さらにAAPでは,インプラントを含む学会名称変更が再度取りざたされている。
基本的には患者をGPや補綴専門医からの紹介で得,比較的短期間で治療を終え紹介元に送り返さないといけないアメリカに比べ,わが国では歯周病の担当医が補綴や他の分野も手がけるため長期的に患者を診ることができるのは,この国で歯周治療を手がける醍醐味といえるだろう。反面,Evidenceに沿った考え方,またテクニック的にはPlastic surgeryやTissue managementの点では欧米に少し見劣りするのではと感じている。
本シンポジウムでは,日米で学んだ経験から専門的歯周治療についてどうあるべきかを考えていきたい。