60th Annual Meeting in Autumn

Presentation information

Sunstar Young Investigator Award口演

Sunstar Young Investigator Award口演

Sat. Dec 16, 2017 11:50 AM - 12:50 PM A会場 (メインホール)

座長:高柴 正悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野)

[SYIA-01] 歯周炎モデルマウスを用いた抗酸化物質レスベラトロールの歯周組織に与える影響

池田 恵莉 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野)

研修コード:2504

Keywords:レスベラトロール、抗酸化、酸化ストレス、炎症性サイトカイン、破骨細胞

歯周炎は歯の喪失の主原因であり,罹患率の高い口腔内の慢性炎症疾患である。歯周炎は多因子疾患ではあるが,1つの側面では過剰な宿主免疫応答が歯周組織の破壊を引き起こし,歯の喪失をもたらしていると考えられている。我々は抗酸化かつ抗炎症作用のある植物由来ポリフェノール,レスベラトロール(RSV)が免疫炎症応答,破骨細胞に関与して歯周炎の改善に効果的に働くのではないかと考え歯周炎モデルマウスを用いて実験を行った。マウス上顎臼歯に糸を15日間留置し,歯周炎を誘発した。歯周炎の慢性化後にRSV(10mg/kg)を腹腔内に注射し,20日目に安楽死させた。上顎歯槽骨の骨吸収量を測定したところ,RSV投与群においてプラセボ投与群と比較して有意な骨再生が見られた。歯周組織の免疫染色により,RSV投与群において酸化ストレスの抑制が見られた。またqPCR法を用いて歯肉中の炎症性サイトカイン量を測定したところ,RSV投与群のIL-1βレベルが有意に減少していた。さらに,骨髄中の単球の単離培養による破骨細胞分化の観察から,RSV投与群は破骨細胞数の減少を認めた。骨吸収改善は,RSVの抗酸化作用・抗炎症作用により活性酸素の産生が抑制され,局所の酸化ストレスが減少し,さらに炎症が抑制されたためと考えられる。本研究からRSVを歯周炎患者の治療に併用する可能性が示された。