The 83rd Annual Meeting of Japanese Society of Public Health

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Public Symposium

親子保健・学校保健分野のさまざまなデータ~さらなるデータ利活用に向けて~

Wed. Oct 30, 2024 1:40 PM - 3:15 PM Venue4 (Mid-sized Hall, Sapporo Convention Center)

Chair:Kota Suzuki, Naomi Kitano

1980年代にイギリスのDavid Barkerが、循環器疾患の死亡率が高い地域では幼児期の死亡率が高く、また、別のデータから出生体重が小さいと循環器疾患の死亡率が高いことを見出し、胎児期に低栄養状態だと、成人期に生活習慣病などの慢性疾患になりやすいといういわゆるBarker説を提唱した。その後、この概念に出生後早期の環境も影響しているというDOHaD説が提唱されるようになった。例えば、胎児期の低栄養状況が、出生後早期に適切な栄養状況へと変化するといったギャップが存在すると、それが成人期に至るまでの健康状態、特に慢性疾患発症に影響するという概念である。

これらの学説をもとに、近年、人の生涯、つまりライフコースを意識した保健事業や研究の必要性が増している。特に、保健事業においては、質の高いデータ収集とその適切な利活用が、効果的な政策立案や施策の実施に直結するため、ある時点での状況を集団のデータで記述するのみならず、個人の時系列データを連結して分析することの必要性が増している。しかし、データの収集・管理・解析にはデータの標準化やプライバシー保護の問題、異なるデータソース間の連携など多くの課題が伴う。

本シンポジウムでは、大学と自治体の連携による地域のデータ利活用事例、環境省により全国規模で実施されている疫学調査であるエコチル調査における研究成果、そして子どものReal World Dataである医療レセプトデータを用いた研究プロジェクトを紹介する。

これらの発表を通じて、データ利活用の具体的な事例とその効果、課題を明らかにし、今後のデータ利活用の方向性や可能性について参加者と共に考える場としたい。本シンポジウムが、参加者にとって有益な情報交換と知見の共有の場となることを期待する。