*竹島 正1 (1. 川崎市総合リハビリテーション推進センター/大正大学)
セッション情報
公募シンポジウム
シンポジウム29:自殺対策基本法制定20周年自殺対策を振り返る(1):自殺実態の把握-メンタルヘルス・自殺対策委員会委員会企画-
2024年10月30日(水) 09:00 〜 10:35 第5会場 (札幌コンベンションセンター 107-108)
座長:野村 恭子(秋田大学医学部衛生学公衆衛生学講座)、反町 吉秀(青森県立保健大学健康科学部 社会的包摂・セーフティプロモーション研究室)
1998年、日本の自殺者は前年と比較して約35%急増し、初めて3万人を超えた(自殺率25.4、人口動態統計)。アジア金融危機との関係が指摘され、精神疾患だけでなく、経済・生活問題、勤務問題を主な原因・動機とするものが増加した。その後、自死遺族を含む諸関係者の尽力により、自殺は個人の問題から社会問題となり、2006年には議員立法により自殺対策基本法が制定された。同法では、多くの自殺は追い込まれた末の死であると捉えられ、自殺は社会的な要因も踏まえ、関係者の連携による包括的な取組みにより、減らすことができる政策課題として位置づけられた。同法制定により、初めて自殺予防対策と自死遺族支援が、国及び自治体の法的責務となった。
全国並びに地域レベルの様々な対策により、自殺率は2010年から減少トレンドに転じた。しかしながら、自治体規模等による自殺対策の自治体間格差や、こどもや若者の自殺率増加が続いたことなど課題も残された。そのような中、同法は2016年改正され、自殺対策予算が恒久化されるとともに、自治体に自殺対策計画の策定が義務付けられた。
コロナ禍に見舞われた2020年の自殺率は16.4(人口動態統計)と上昇に転じ、それ以後も減少トレンドには至っていない。また、2022年に小中高校生の自殺者数は514人と過去最多を記録した。こども家庭庁(2023年設立)には自殺対策室が設置され、こどもの自殺対策緊急強化プランが打ち出されたが、取組は端緒がついたばかりである。
自殺対策基本法施行20周年に向けて、適切かつ効果的で持続可能な自殺政策を構築するためには、多くの課題が残されている。その一つが自殺及び自殺未遂の実態把握である。そこで、当委員会では最初のステップとして、自殺及び自殺未遂の実態把握の現状と研究推進に向けたデータのavailabilityに焦点を充てたシンポジウムを開催することとした。演者には4名の専門家を立て、自殺対策の歴史から現在の課題、令和4年の自殺統計原票の改正と問題点の整理を行い、地域における救急搬送自傷例の統計的分析、救急医療機関における自傷・自殺未遂レジストリの紹介について発表していただき、フロアとともに全体討論を行う。
*三宅 康史1、青木 藍2、小林 諭史2、福田 吉治3、清水 康之2 (1. 帝京大学医学部救急医学講座/同附属病院高度救命救急センター、2. 厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センター、3. 帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
*影山 隆之1 (1. 大分県立看護科学大学精神看護学研究室,日本自殺予防学会)
*山内 貴史1 (1. 東京慈恵会医科大学 環境保健医学講座)