The 83rd Annual Meeting of Japanese Society of Public Health

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Public Symposium

対話が育む支援力、受援力

Wed. Oct 30, 2024 3:25 PM - 5:00 PM Venue6 (Small Hall, Sapporo Convention Center)

Chair:Shinya Iwamura

 災害国日本ではこれまでも、そして現在も全国各地で様々な災害に遭遇してきた。その都度、全国から様々な支援が行われ、復興の力となってきたことは間違いない。それらの災害の経験からより、「支援力」、「受援力」という言葉も生まれ、これらについても多くの分析、検証、議論が行われてきた。しかし、支援も、受援も、そしてその後の復興も必ずしも杓子定規に進まないというのが現実である。
 東日本大震災の被災地の陸前高田市では多くの専門職や市役所職員を失う甚大な被害に遭遇した。その後、全国各地、今回のシンポジストの神戸や熊本のみならず、世界中から様々な支援を受け、一歩ずつ復興を進めてきた。14年目に入った復興のプロセスを検証すると、そのプロセスが円滑に進むに当たって共通していたことが「対話」という言葉で集約できると思われた。これは決して本学会のテーマにおもねっているということではなく、改めて気づかされた、言語化されたといって過言ではない。
 陸前高田市では被災直後から今に至るまでだけではなく、震災前から住民と専門職、行政、震災後は支援者、受援者の対話のみならず、震災後も専門職同士の、支援者同士のたゆまない丁寧な対話を無意識の中で行っていた。この対話の繰り返しが、結果として被災直後から今に至るまでの復興の原動力になっていると考えられる。
 座長も一公衆衛生医として東日本大震災発災直後から陸前高田市に入ったが、当初は支援者にはどのような専門的、技術的、物質的な支援ができるかが問われていると考え、できることは何かを模索するつもりで現地入りした。しかし、実際に被災地のneeds は、敢えて言うがdemandではなく求められていたのは対話を通して、現地で、できる人が、その人なりにできることを、できる時に、できるような環境整備に寄与することであった。対話(dialogue)の反対は、議論、説得、正論、正解、叱咤激励といった独り言(monologue)であった。
 今回、シンポジストとして発表する一人ひとりは、自らが被災した経験、支援した経験、一人ひとりの専門性を持っている中で、効果的に支援を、受援を展開するには、対話を通した信頼関係の構築が重要であることを経験している。本シンポジウムでは支援力、受援力が最大限に発揮されるために必要な対話、対話力について検証する。

*RYOHEI SASAKI1, AYAKO ENDO4, HATSUMI YAMASAKI2, HIROSHI MATSUO3, SHINYA IWAMURO5 (1. Center for Liberal Arts and Sciences, Iwate Medical University, 2. Kobe City Child and Family Bureau, Child and Family Centre, 3. Kumamoto Health Support Institute Co, 4. Health Section, Welfare Department, Rikuzentakata City, 5. Health Promotion Promotion Centre)