22nd Congress of the Japanese Society for Palliative Medicine

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症例検討ワークショップ

[CD1] 〜終末期における最善の対応を倫理的側面も踏まえて考える〜

〜終末期における最善の対応を倫理的側面も踏まえて考える〜

Fri. Jun 23, 2017 2:00 PM - 3:30 PM 第12会場 (アネックスホール F201+202)

座長:前滝栄子(京都市立病院 看護部)、今井堅吾(聖隷三方原病院ホスピス科)

企画趣旨
 いのちの終わりを支える臨床現場では、患者の意向を尊重し、その人らしく過ごせるように、そしてQOLが保たれるように日々努めています。しかし実際には、入院在院日数の短縮化、高齢化、認知症やせん妄の合併などで、患者の意向がはっきりせず、本来のその人らしさも分からないまま、治療やケアに取り組まなければならないこともあります。特に終末期の苦痛や意識状態が悪化する状況では、患者の最善の治療やケアは何かを考える中で、患者の人間としての権利や尊厳に関わる問題にも直面し、「これで本当に良いのだろうか?」と感じることがあります。たとえ医療倫理的には妥当でも、いざケアを担う一人の人間として目の前の人を相手にすると、それぞれの医療者は、葛藤や不全感、わだかまりなど多様な想いを抱えます。いのちに携わり、人をみることの難しさであり、答えのない悩みであろうと思います。
 この症例検討ワークショップでは、がん終末期に強い呼吸困難を来した高齢認知症患者の事例を取り上げます。意思決定支援について、また、せん妄により自己決定能力が急速に低下する状況での、強い苦痛に対する治療やケアのあり方について、フロアを交えて検討したいと思います。倫理的側面も踏まえたいと思いますが、それにとどまらず、参加者それぞれの経験や考えを共有し、目の前の相手を支えるための、新たな気付きと今後のケアの糧となる場になればと願っています。

検討課題
 医療チームは、「症状を軽減するために対応を急いだために、患者を苦しめることになったのではないか?」「患者にとって最善な対応は何だったのか?」という思いを感じていました。これらの疑問について明らかにするために、
1.心嚢ドレナージを選択するかどうかの決定プロセスにおいて、がん終末期の高齢認知症患者やその家族に対する医療チームの支援が適切であったか
2.がん終末期にせん妄による意識障害が進行する状況での、症状緩和のための薬物治療やケアについて、患者の利益と負担をどう考えるか
 以上の2点を中心に、倫理的側面も考慮しながら検討していきたいと思います。

前滝 栄子 利益相反1 〜 13:該当無し
今井 堅吾 利益相反1 ~ 13:該当無し