粉体粉末冶金協会 平成30年度秋季大会(第122回講演大会)

企画セッションおよび講演特集

企画セッションおよび講演特集

企画セッション
1.熱電変換材料 ー実用化へ向けてのステップー <協賛:日本熱電学会>
熱電変換システムは,廃熱から安定持続的に電気エネルギーを創出可能な環境に優しいクリーンなエネルギー変換システムです.同様に環境に優しいエネルギー変換システムとされる太陽電池に比べ,現時点においてはエネルギー変換効率や製造コストの点で劣っているため一般的な知名度が低い熱電変換システムですが,更なる性能の向上をはかり,広く実用化を目指すプロジェクトが様々なところで進行中です.新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では,未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発プロジェクトの一つとして熱電変換技術が設定されています.そこでは平成34年度末までの達成目標として発電効率15%以上を有するモジュール及び出力200Wを達成する発電ユニットの開発などが掲げられています.
 本セッションでは,熱電変換材料に関する最新の研究成果を基礎・応用にわたる幅広い分野から持ち寄って情報交換し,今後の研究開発の方向を探ります.また,国内の著名な研究者による特別講演および招待講演も予定しています.現在熱電変換材料の研究に従事している方はもちろん,熱電変換に関心のある多くの方のご参加をお待ちしています.
 
2.粉末,混合,成形,焼結等のシミュレーションの発展
粉末を出発原料とする材料合成技術では,今後ますます精密かつ正確なプロセス制御・設計が求められ,それに貢献するシミュレーション技術発展が期待されます.本分野におけるシミュレーション技術としては,粉末の合成,粉体の混合,粉末の成形,焼結のプロセス,組織形成,収縮・形状変化,焼結体の加工等のシミュレーション技術(計算解析技術を含む)などが考えられます.本セッションでは,そのような粉体・粉末冶金に関わるシミュレーション技術について,計算原理やシミュレーション解析,さらにはシミュレーション適用等に関して,最近の研究成果や技術動向に関する発表を特集し,今後の研究課題等を議論します.奮ってご参加下さい.
 
講演特集
1.自動車焼結部品の現状と今後の展開
焼結部品の約90%が自動車関連部品に使用されており,焼結部品開発は自動車産業の変化への柔軟かつ迅速な対応が求められております.自動車産業に対する社会的ニーズは,燃費向上による温室効果ガス排出量の削減,人口高齢化への対応,およびITとの連携などがあり,将来に向けた技術革新が予想されます.これに呼応して,焼結部品の開発には燃費向上小型軽量化に耐え得る高強度材料に加え,動力の電動化および自動運転技術等に伴って必要となる新規用途に向けた材料の提案が期待されています.一方で,既存の自動車用部品はすでにグローバル供給が進んでおり,品質安定化を可能とする部品製造プロセス開発も重要な課題となっています.本特集が,焼結部品技術のさらなる発展につながる最先端の情報交換および活発な議論の場となりますよう,基礎研究から製造プロセスに至る講演を広く募集します.奮ってのご応募をお待ちしています.
 
2.硬質材料の今後の発展のための技術・研究進展
工作機械をはじめとした加工技術の高性能化,高効率化のためには,工具材料の性能,製造プロセス,コスト,資源などの多くの観点からの今後の技術発展が期待されています.本特集では,切削工具あるいは耐摩耗工具等に用いられる硬質材料(工具材料)として,WC 基超硬合金, Ti(C, N) 基サーメット,セラミックス,cBN・ダイヤモンド焼結体,CVD,PVD などの材料・コーティング技術を取り上げ, 原料,材料組織,基礎特性,工具特性,製造技術ならびに関連の解析法,理論,シミュレーションなどに関する最近の研究課題と成果,新しい技術動向・進展などの発表を募集します.奮ってご参加下さい.
 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
ハード磁性,ソフト磁性を問わず,またバルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,磁性材料内部の微細構造の制御は,その磁気特性を左右することから,応用先である各種磁気デバイスの新機能・高機能発現にとって重要な技術となっています.本特集では,磁性材料・磁気デバイスにおけるナノメートルからマイクロメートルレベルまでに及ぶ微細構造の創製・制御・評価技術と,それらの技術によって誘起される機能と応用に関する話題を募集し,新しい研究開発に向けて展開できるような討論を実施したいと考えています.エネルギー変換デバイス・装置で用いられる,永久磁石用ハード磁性材料では,新規磁石材料や新規作製プロセスなどについても注目し,希土類系からフェライトまで,ソフト磁性材料についてはフェライトから圧粉磁心などでも用いられる金属系磁性粉まで幅広く募集します.いずれの材料・デバイスも日本が世界をリードする上で重要なものとなっています.多くの成果報告を期待するとともに活発な討論をしたいと思います.奮ってご参加下さい.
 
4.粉末積層3D造形技術における課題と最先端研究
最近の世界的トピックスとして,樹脂はもとより金属粉末から直接製品を成形する粉末積層造形技術が大きな注目を集めており,現在では粉末製造から装置開発、造形挙動の理解やポストプロセス等、急速に研究領域が広がりつつあります。本協会におきましても,国内における当該技術分野の動向や,最新の研究成果についての講演・発表を通じて,当該技術分野での研究開発をより一層活発化するため,粉末積層3D造形技術委員会を設立しました.その活動を経て得られたネットワークを活用しまして,第3回の講演特集を組ませて頂きます.積層造形に関する研究であれば内容は問いませんので,委員会のメンバーの皆様はもとより,関連する研究者の方々の積極的なご発表および,ご興味を抱かれている多方面からの聴講を歓迎します.