今回の企画セッション及び講演特集
企画セッション
1.粉末を出発原料とする材料・プロセスのシミュレーション技術粉末を出発原料とする材料合成技術では,今後ますます精密かつ複雑なプロセス制御・設計が求められ,それに貢献するシミュレーション技術発展が期待されます.本分野におけるシミュレーション技術としては,粉末の合成,粉体の混合,粉末の成形,焼結のプロセス,組織形成,収縮・形状変化,焼結体の加工等のシミュレーション技術などが考えられます.本セッションでは,そのような粉体・粉末冶金に関わるシミュレーション技術について,計算原理やシミュレーション解析,さらにはシミュレーション適用等に関して,最近の研究成果や技術動向に関する発表を特集し,今後の研究課題等を議論します.奮ってご参加下さい.
2.環境・エネルギー材料最前線・2020
新世紀と言われた21世紀が始まってはや20年.東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は,「地球温暖化」,「ヒートアイランド」といった環境問題を,我々の生活に直結した問題として改めて認識させられる年となりました.我々の環境問題への意識の高まりと相まって,「CO2削減」「CO2貯留」「環境モニタリング」「環境保全」「環境浄化」「エネルギー製造・輸送・貯蔵」「省エネルギー」「創エネルギー」「クリーンエネルギー」といった環境・エネルギー関連技術が大きく発展したのもこの20年間の動きと言えるでしょう.本セッションでは,「材料」の観点から,環境問題,エネルギー問題の解決に取り組む研究を幅広く取り上げ,活発な討論を行いたいと思います.粉体粉末冶金分野はもちろんのこと,環境・エネルギー関連分野の多くの方々の積極的な参加を期待します.
講演特集
1.粉末冶金技術と製品評価に関する新たな展開粉末冶金プロセスを用いた製造技術は,様々な分野で活用され発展を続けている重要な技術です.また,その技術で製造した材料・製品を適切な方法で定量的に評価することも重要となります.本特集では,粉末冶金技術が関わる新しい製造技術や製品の特性の定量評価に関連する様々な研究内容を対象として募集します.例えば,前回(平成30年度春季大会)の講演特集では,粉末冶金技術で作製した各種機能性材料の特性に関する研究,不規則形状粒子シミュレーション法による圧密成形プロセスに関する研究,粉末冶金技術で作製した構造材料の組織に関する研究,有限要素法に基づく焼結シミュレーションに関する研究,レーザー積層造形法で作製した各種金属材料の組織や特性に関する研究など多岐にわたる分野の発表が計17件ありました.今回の講演特集も,粉末冶金技術が関わる多種多様な分野からの研究発表を歓迎します.多数のご応募とご参加をお待ちしています.
2.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.今回もこの方針を継続し,産官学から多くの機関の研究者が集い討論する場となることを期待して講演を募集したいと考えています.エネルギー変換デバイス・装置で用いられる,永久磁石用ハード磁性材料では,新規磁石材料や新規作製プロセスなどについても注目し,希土類系からフェライトまで,ソフト磁性材料についてはフェライトから圧粉磁心などでも用いられる金属系磁性粉まで幅広く募集いたします.いずれの材料・デバイスも日本が世界をリードする上で重要なものとなっています.多くの皆様の講演申込をお待ちしています.奮ってご参加下さい.
3.金属射出成形の課題と更なる展開
金属射出成形法(Metal Injection Molding, MIM)は,1970年代に米国で研究が開始されてから半世紀を迎えようとしています.この間に国内では各社・各研究機関の特色を活かしてMIM技術の進歩と用途開発が進められてきました.一方で,アジア圏ではMIM技術や製品についても汎用化が進み,欧米では新たな3D積層造形技術が実用段階に入っています.このような中でMIM製品の需要を伸ばしていくには,市場分野に応じた技術や製品を開発していく必要があります.本特集では,粉末やバインダーシステムを含むフィードストックに関する研究開発から,品質向上やコスト低減に対応するための生産方式に関する取組み,製品形状の小型化や複雑化および適用材質の拡大に対する取組みの他,表面処理等によるMIM製品の機能性向上に関する取組みなどについて幅広く講演を募集し,お互いに活発な議論を行うことにより,MIMメーカーが抱える課題解決のヒントを生み出す場になることを期待しております.
4.ナノ材料の合成とその複合化技術の新展開
セラミックス,金属,炭素などのナノ材料は,物質固有の性質に加え,ナノ領域のサイズに由来する機能を発現する可能性があることから,大きな注目を集めています.そこで,種々の応用に向け,ナノ材料の代表的合成手法であるTop Down法とBottom Up法が,近年発展してきました.また,2つの化学的に異なる面を有するヤヌスナノ材料など,新しいナノ材料についても報告が増加しております.加えて,ナノ材料同士の複合化、高分子などをマトリクスとした複合化についても,高機能化を目指して様々な手法が提案されています.こうしたナノ材料の合成とその複合化,さらには得られる材料の応用展開は,本協会の将来において重要な役割を果たしていくと期待されます.
本特集では,ナノ材料の合成とその複合化技術に関する様々な観点からの講演を募集します.奮ってご参加下さい.