粉体粉末冶金協会2021年度春季大会(第127回講演大会)

講演特集テーマ

講演特集

1.各種粉末の焼結技術および焼結機構の新たな展開
 本特集は,最近注目を浴びている3次元粉末積層焼結造形法に加え,金属粉末射出成形法による複雑形状部品の作製,パルス通電加熱やミリ波・マイクロ波加熱などの新しい焼結法について意見交換するとともに,粉末押出し法などの加圧焼結および従来の固相焼結,液相焼結につて粉体粒子の焼結メカニズムの理解を踏まえた焼結技術の現状と将来を展望することを企画します.各種粉末の焼結技術は,自動車を始めとする精密機械部品の製造に対して基本的にますます重要となっています.雰囲気や加熱条件,熱源の操作条件,電磁場などの諸条件の影響,微量添加元素による焼結の促進効果,また,粒子間結合ネックサイズレベルの構造制御が材料機能特性に直接関わってくるため,基礎的な実験的・理論的研究,さらには新しい焼結法の提案なども含め,焼結技術に関連した講演を広く募集します.


2.メカニカルアロイング技術を用いた材料開発
 メカニカルアロイング(メカニカルミリング)やメカノケミカル反応を用いた粉末合成・処理,新材料開発は金属材料,無機材料,有機材料など材料の種類を問わずなど最近様々な分野で用いられています.その応用範囲は活性な粉末特性を活かした触媒への応用,あるいはナノ材料の特性を活かした焼結材料への応用など多岐にわたっています.一方,メカニカルアロイング研究では基礎的なノウハウの蓄積があるものの,それが現状では材料開発に十分活かされているとはいえません.本講演特集では,メカニカルアロイング手法に関わるボールミル処理からメカノケミカル反応,さらにそのスパークプラズマ焼結法などの焼結技術を含めて広く講演を募集し,メカニカルアロイングに関連した知見を情報交換し,活発な議論を期待しています.
 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.今回もこの方針を継続し,産官学から多くの機関の研究者が集い討論する場となることを期待して講演を募集したいと考えています.永久磁石用ハード磁性材料,パワーエレクトロニクスのためのソフト磁性材料では,新規材料設計や新規作製プロセスについて注目し,合金系磁性体からフェライトまで幅広く募集いたします.いずれの材料・デバイスも持続可能な社会を実現する上で,日本が世界をリードする重要なものとなっています.また,バイオや環境分野などに応用されることが期待される磁性材料,デバイスの提案を含め,最近の話題提供の場となるようなセッションを構成したいと考えています.多くの皆様の講演申込をお待ちしています.また奮って本特集にご参加ください.
 
4.光機能材料の基礎と応用
物質と光の相互作用はさまざまな光機能材料を生み出しています.蛍光体やレーザーに代表される光源,光ファイバーなどの光信号の伝達材料,さらには光信号の振幅,波長,偏光などを制御する光変調素子,受信側の光検出器,情報を蓄積し提供する光記録媒体など,その用途は広範であり,さまざまな産業や医療を根幹から支える重要な材料・デバイスとして認識されています.視点を変えると,半導体,誘電体,磁性体と光の相互作用に基づいて,発光ダイオード,太陽電池,光触媒,センサー,非線形光学材料,磁気光学材料などが開発され,それぞれの応用が広がっています.今世紀に入ってからは,金属と光の相互作用が新しい観点から注目され,プラズモニクスやメタ光学といった分野が開拓されています.このような光機能材料の研究・開発に関する情報交換を行い,材料の新たな展開を探る目的で,講演特集として光機能材料の基礎と応用を設けました.物質の基礎的な光物性,優れた光機能発現のための材料プロセスと特性評価,デバイスとしての応用など,さまざまな観点からの講演を募集します.奮ってご参加下さい.
 
5.イオン伝導材料
 菅内閣総理大臣の所信表明演説に触れられたように,我が国では,経済と環境の好循環を掲げて,グリーン社会の実現に大きく舵が切られようとしています.このようなグリーン社会を実現し,持続可能な低炭素社会を実現していくためには,新しい蓄電デバイスの開発を始めとするエネルギー利用技術への取り組みが必要です.イオン伝導性材料は全固体電池や水系リチウムイオン電池など革新的な蓄電デバイスを実現するためには必要具可決な材料であり,このようなデバイスへの応用を含めイオン伝導性材料に関する研究・開発は益々重要となっています.
本特集では,イオン伝導性材料ならびに蓄電デバイスを含む種々の電気化学素子に関する話題について,この分野に興味をお持ちの方々の講演を募集します.様々なイオン伝導材料やこれを用いたデバイス(各種蓄電池や燃料電池など),さらにはこれらのイオン伝導材料の新たな合成方法などについて,幅広い領域での講演発表を募集します.未完成の段階でも,アイディアの段階でも結構ですので,奮ってご参加下さい.
 
6.遷移金属(希土類)化合物・酸化物材料の新物質と新物性
新たな物性を生み出す新物質の創成は,物質・材料科学の基礎研究と産業応用へ向けた実用研究の両分野を大きく発展させる可能性があります.近年,物性物理の分野では,強相関電子系材料や量子スピン系磁性体,トポロジカル電子系材料など,新規な物質群が次々と見出されて,新たな物性理論も展開されています.一方で,磁性や誘電性など既に産業が確立されていると思われる分野でも,新しいスピントロニクス材料やマルチフェロイック材料などが発見され,新たな産業分野が開拓される可能性が見えてきています.本講演特集では,このような新たな学術・産業分野を拓く新物質と新物性について,固体化学や粉末冶金を中心とした多角的な視点から議論したいと思います.物質合成,プロセス設計,材料評価,物性測定・評価の様々な観点からの材料研究を広く募集します.