粉体粉末冶金協会2022年度春季大会(第129回講演大会)

企画セッション・講演特集のご案内

企画セッション・講演特集のご案内

企画セッション
1.粉末冶金に関するシミュレーション技術
 粉末を出発原料とする材料技術では,精密かつ複雑なプロセス制御・設計が求められ,それに貢献するシミュレーション技術発展が期待されます.本分野におけるシミュレーション技術としては,粉末の合成,粉体の混合,粉末の成形,焼結のプロセス,組織形成,収縮・形状変化,焼結体の加工等のシミュレーション技術(計算解析技術を含む)などが考えられます.本セッションでは,そのような粉末冶金に関わるシミュレーション技術について,計算原理やシミュレーション解析,さらにはシミュレーション適用等に関して,最近の研究成果や技術動向に関する発表を特集し,今後の研究課題等を議論します.奮ってご参加下さい.
 
講演特集
1.各種粉末の焼結技術および焼結機構の新たな展開
 本特集は,最近注目を浴びている3次元粉末積層焼結造形法に加え,パルス通電加熱やミリ波・マイクロ波加熱などの新しい焼結法について意見交換するとともに,粉末押出し法などの加圧焼結および従来の固相焼結,液相焼結について粉体粒子の焼結メカニズムの理解を踏まえた焼結技術の現状と将来を展望することを企画します.各種粉末の焼結技術は,自動車を始めとする精密機械部品の製造に対して基本的にますます重要となっています.雰囲気や加熱条件,熱源の操作条件,電磁場などの諸条件の影響,微量添加元素による焼結の促進効果,また,粒子間結合ネックサイズレベルの構造制御が材料機能特性に直接関わってくるため,基礎的な実験的・理論的研究,さらには新しい焼結法の提案なども含め,焼結技術に関連した講演を広く募集します.

2.各種外場環境下における動的現象の理解とその利用に向けて
 電場,磁場,応力場,光照射などの外場の印加は、各種材料における焼結緻密化や微細組織形成過程,あるいは光学特性や力学応答などの材料特性に多大な影響を与えることが明らかになりつつある,これら外場を積極的に利用した新たな材料製造技術や材料開発,また新機能発現に期待が寄せられています.さらに外場効果は,既存のプロセッシング手法と組み合せることで,これまでに知られていない新規な現象や機能発現の可能性すら秘めており,本協会における新たな研究領域の開拓や技術展開の促進に寄与できると期待されます.
 本特集では,関連分野の研究者の連携・協力を通じて,外場効果に対する基礎基盤的知見を総合し,外場支援による新たなプロセスへと展開させるための討論と情報交換の場を提供することで,当該分野の活性化を図る場となることを期待しています.様々な外場効果を利用した現象や合成技術,プロセス一般に関する講演をお待ちしておりますので,奮ってご参加ください.

 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
 本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.今回もこのテーマで,産官学から多くの機関の研究者が集い討論する場となることを期待して講演を募集したいと考えています.永久磁石用ハード磁性材料,パワーエレクトロニクスのためのソフト磁性材料では,新規材料設計や新規作製プロセスについて注目し,合金系磁性体からフェライトまで幅広く募集します.いずれの材料・デバイスも持続可能な社会を実現する上で,日本が世界をリードする重要なものとなっています.また,磁性材料の応用範囲を拡大することが期待されるバイオや環境分野などについても、材料、デバイスの提案を含め、新しい話題提供の場となるようなセッションを構成したいと考えています.多くの皆様の講演申込をお待ちしています.今回は2020年度の協会賞受賞記念講演も行います.奮ってセッションにご参加ください.
 
4.HIP/CIPおよび関連技術
 HIP/CIPは1950年代に開発されて以降主に,高品質・高性能な材料の製造には欠かせない技術として発展してきました.現在では航空機部品,ガスタービン部品,半導体用ターゲット,セラミックス製造などを始め,数多くの分野に適応され,産業の基幹技術の一つとして非常な重要な位置を占めるに至っています.特に近年は金属積層造形品への高圧処理が着目されており,重要なポストプロセスとして,研究成果及び製造プロセスとしての適用例が多数報告されています.このように基幹技術として発展する一方で,新材料や新用途の探索事例が増えてきています.コロナ過の影響はありましたが,中国を始め米国,欧州でのIP装置の販売は増加しています.
 本特集では,人的な交流、情報交換を活発化してHIP/CIP技術およびその関連技術の更なる飛躍と,産業へのより一層の貢献を推進することを目的として,基礎科学的な研究,工業製品への適応例,新たな分野への適応の可能性など,HIP/CIPに関連する幅広い領域での講演発表を募集します.HIP/CIPに関する研究であれば内容は問いませんので,委員会のメンバーの皆様はもとより,関連する方々の積極的なご発表ならびにご興味を抱かれている多方面からの聴講を歓迎します.

 
5.金属射出成形の課題と更なる展開
 金属射出成形法(Metal Injection Molding, MIM)は,1970年代に米国で研究が開始され,事業化されてから約半世紀になります.この間に国内では各社・各研究機関の特色を活かしてMIM技術の進歩と用途開発が進められてきました.一方で,アジア圏ではMIM技術や製品についても汎用化が進んでおります.また,欧米では新たな3D積層造形技術が実用段階に入り,急速に市場を拡大しつつあります.このような中,MIMは今まで以上に他工法との差別化,付加価値の向上を目指す必要があります.本特集では,MIMの原料粉末,コンパウンド,製造プロセス,製品評価などの基礎技術を始め,MIM製品の機能性向上や新たな課題への取組みなど幅広く講演を募集します.多くの方々にご参加いただき,活発な議論が交わされ,産業の発展に寄与することを期待しております.
 
6.ナノ、マクロ多孔体の作りこみと機能発現
 セラミックス,金属,炭素などの多孔体は,物質固有の性質に加え,構造・組成・形態の多様化により,触媒・吸着剤・光学材料をはじめとする様々な機能を発現することから,大きな注目を集めています.近年,種々の応用に向けて,ナノ,メソ,マクロ多孔体の新規合成法が開発され,多孔体構造の作りこみが行われています.一般的に多孔体は,有機テンプレート(気孔形成剤)存在下で無機種を析出,あるいは,複合させ,有機物除去により孔を生成しますが,気孔形成剤の無機化や回収可能な物質を用いるなど,低環境負荷なプロセスも現れてきました.また,多孔体の骨格である無機種の組成や構造も多様化し,ハイブリッド系や金属系などへも展開されています.こうした多孔体の合成,複合化とその応用展開は,本協会の将来において重要な役割を果たしていくと期待されます.
 本特集では,ナノ、マクロ多孔体の作りこみと機能発現に関する様々な観点からの講演を募集します.奮ってご参加下さい.

 
7.ガラス科学とバイオインスパイアード材料
国際ガラス年ロゴ (国際ガラス年2022協賛セッション)
 バイオインスパイアード材料の領域は,生体を模倣した材料とその合成プロセスの開拓を対象にしており,生体の組織や機能を修復するバイオマテリアルの分野も含まれます.国連総会において,2022年は「国際ガラス年」に定められました.ガラス科学は,バイオインスパイアード材料の開発に広く利用されてきました.特に骨組織と直接接する性質を発現する生体活性ガラスの発見とその後の研究は,ガラスと生体の相互作用を利用する材料創成に大きく貢献してきました.
 本特集は,国際ガラス年2022の協賛行事として,ガラス科学とバイオインスパイアード材料について,合成や構造,機能の発現に関連した領域での講演発表を募集します.ガラスやバイオ関連材料に限らず,生体に着想を得た合成プロセスや高機能材料の開発を進めている多様な研究に関して,議論と意見交換の場にしたく思います.途中段階にある研究や,これまでの研究を総括したもの等,幅広い内容を歓迎します.奮ってご参加下さい.