粉体粉末冶金協会2024年度春季大会(第133回講演大会)

講演特集の案内

 

講演特集
1.各種粉末の焼結技術および焼結機構の新たな展開
 (Research Advances in Sintering Technology and Sintering Mechanism of Powders)
 本特集は,最近注目を浴びている3次元粉末積層焼結造形法に加え,パルス通電加熱やミリ波・マイクロ波加熱などの新しい焼結法について意見交換するとともに,粉末押出し法などの加圧焼結および従来の固相焼結,液相焼結について粉体粒子の焼結メカニズムの理解を踏まえた焼結技術の現状と将来を展望することを企画します.各種粉末の焼結技術は,自動車を始めとする精密機械部品の製造に対して基本的にますます重要となっています.雰囲気や加熱条件,熱源の操作条件,電磁場などの諸条件の影響,微量添加元素による焼結の促進効果,また,粒子間結合ネックサイズレベルの構造制御が材料機能特性に直接関わってくるため,基礎的な実験的・理論的研究,さらには新しい焼結法の提案なども含め,焼結技術に関連した講演を広く募集します.
 
2.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
 (Control and Manipulation of Microstructure in Magnetic Materials for Functional Devices)
 本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.永久磁石用ハード磁性材料,パワーエレクトロニクスのためのソフト磁性材料では,新規材料設計や新規作製プロセスについて注目し,合金系磁性体からフェライトまで幅広く募集いたします.これらは持続可能でスマートな人に優しい社会を実現する上で必要であり,パワーエレクトロニクスにおいて不可欠の材料・デバイスで,日本が世界をリードする重要なものとなっています.また,通信技術の進展に伴う高周波対応材料・デバイスについても重要性がますます認識され,講演が増えております.さらに,磁性材料の応用範囲を拡大することが期待されるバイオや環境分野などについても、材料、デバイスの提案を含め、新しい話題提供の場となるようなセッションを構成したいと考えています.これらの幅広い磁気に関する講演について,産官学の多様な参加者が一堂に会して討論する場となることを期待して,多くの皆様の講演申込をお待ちしています.また,会場においでいただき,奮ってセッションにご参加ください.

3.金属ガラス・ナノ結晶材料および高エントロピー合金の基礎と応用に関する新たな展開
 (Fundamentals and Applications of Metallic Glasses, Nano-crystalline Materials and High Entropy Alloys)
(共催:日本材料学会金属ガラス部門委員会)
 金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金は20世紀後半以降,急激に注目度を増している新しい金属材料分野であり,我が国もそれらの学術的発展・研究開発に大きく貢献してきた経緯があります.これら3つの新規金属材料群はいずれも従来合金と比べて多くの卓越した物理的特性を呈することが知られています.構造に結晶・非結晶の違いはあるものの,主に多成分系で高溶質濃度の合金を対象としており,また材料設計の観点においてもそれぞれに多くの共通点があります.従ってこれら新規金属材料群を1つのセッションで取り上げることで,それぞれの材料に対する深い理解や新材料・機能創出に繋がる有益な機会になるものと考えられます.
 本特集では,金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金に関する基礎から応用に至るまでの幅広い内容の講演を広く募集します.(1)構造,(2)相安定性,熱的特性,(3)計算材料科学予測,(4)力学特性,変形・破壊,(5)磁気的性質,(6)化学的性質,(7)粉末冶金,(8)接合,(9)凝固,(10)融体加工,(11)応用など,多くの方々のご発表,ご参加をお待ちしております.

4.バイオインスパイアード材料
 (Bioinspired Materials)
 生体は,環境負荷の小さいプロセスによって優れた材料を創りだしています.骨や歯,貝殻などのバイオミネラルに代表されるように,生体が作る材料は,生体の活動に必要となる機能を発現するために,巧みな構造で創り上げられています.その構造や,構築プロセス,機能発現に啓発を受けて,新しい材料の開発へと展開するバイオインスパイアード材料の領域は,生体を模倣した材料の開拓にとどまらず,これまでに生体では達成されなかった新しい材料技術の創出も含まれます.
 本特集は,バイオインスパイアード材料について,合成や構造,機能の発現に関連する広い分野からの講演発表を募集します.生体に着想を得た合成プロセスや高機能材料の開発を進めている多様な研究について,議論と意見交換を行う場にしたいと思います.途中段階にある研究や,これまでの研究を総括したもの等,幅広い内容を歓迎します.奮ってご参加下さい .

5.遷移金属化合物:新物質・新材料の合成と物性
 (Transition-Metal Compounds: Novel Materials Synthesis and Property Measurements
 新規な物性を生み出す新物質・新材料の合成は,物質材料科学の基礎研究と産業応用へ向けた実用研究の両分野を大きく発展させる可能性があります.特に近年では,基礎研究において強相関電子系材料や量子スピン系材料などの新しい物性を示す新規な物質群が次々と見出されています.また,長い研究開発の歴史を持つ磁性体(材料)や誘電体(材料)でも,高機能な特性向上が相次いで報告されています.
 本特集では,このような新たな学術・産業分野を拓く新物質・新材料の合成と物性について,粉末冶金や固体化学・物理の視点から幅広く議論します.遷移金属化合物を中心に新物質・新材料の合成手法や材料・物性評価手法を含めて,さまざまな観点からの材料研究を広く募集します.

6.傾斜機能材料の先端研究と今後の展望
 (Advanced Researches and Prospects of Functionally Graded Materials)
 傾斜機能材料(Functionally Graded Materials: FGMs)は,スペースプレーンの機能特性を飛躍的に向上させる新しい科学技術コンセプトとして我が国で発明され,現在では切削工具などものづくりを支える産業ツールをはじめ,光伝送ケーブルなど先端情報通信システムにも応用されるに至っており,最近の国際的研究では,傾斜構造化を含めた人為的規則構造制御へと展開しており,新しい広がりをみせています.
 本特集では,材料の構造や組成などの傾斜化に基づく新機能発現を目指した基礎研究および実用化開発に関する研究に加えて,新しい規則的構造制御と機能発現に関する講演を幅広い分野から募集いたします.皆様のご参加をお待ち致しております. 

7.外場効果を利用した新たな創製技術と機能発現
 (Towards New Synthesis Technologies and Functionality Derived by External Field Effects)
 これまで各種材料の特性改善に向けた取組が進められ,多くの成果が得られてきましたが,特性改善の速度は徐々に飽和しつつあります.この課題を抜本的に解決し,画期的な特性向上や新たな機能発現を図る上では,従来概念にとらわれない新たな創製手法への挑戦が必要です.その一つの候補として,これまで必ずしも積極的には採用されていなかった電場,磁場,応力場,光照射などの外部場の利用が挙げられます.これまでに,各種外部場を印加することにより特異な微構造の創出や新たな機能の発現などが報告されており,外部場を利用した新たな材料製造技術や材料開発,新機能発現に期待が寄せられています.
  この様な状況をさらに加速させるため,本特集では外場効果に対する基礎的知見を深めると同時に,材料創製にもフォーカスした討論と情報交換の場を提供し,基礎と応用の融合を図ることで当該分野の更なる活性化を推し進める端緒となることを目指します.外場環境下における動的現象一般に関係した基礎・基盤的な研究から,様々な外場効果を利用した創製手法の開拓に亘って講演を広く集めますので,奮ってご参加ください.

8.イオン伝導性材料の新展開
 (New Developments in Research Related to Ion-Conductive Materials)
 固体内の高速イオン移動現象を担うイオン伝導性材料は,蓄電池,燃料電池,化学センサなど様々な電気化学デバイスのキーマテリアルです.特に,我が国が掲げる2050年カーボンニュートラル宣言の実現に向けて,エネルギー変換・貯蔵のさらなる高効率化が期待されており,エネルギー関連材料の開発が一層重要になっています.
 本特集では,イオン伝導性材料(混合導電体,固体電解質)を中心として,エネルギー関連材料の進展に関する講演を募集します.また,これらの材料を用いた種々のデバイス(各種蓄電池,燃料電池,キャパシタなど)や新規な材料合成法,評価法など,幅広い領域での講演発表を募集します.未完成の段階,アイディア段階のご研究も歓迎します.奮ってご参加ください.