JSPN119

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委員会シンポジウム

委員会シンポジウム1
ICD-11/DSM-5-TRから児童青年期精神医学の診断の近未来を考える

Thu. Jun 22, 2023 8:30 AM - 10:30 AM B会場 (パシフィコ横浜ノース 1F G5)

司会:岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部), 今村 明(長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部)
メインコーディネーター:今村 明(長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部)
サブコーディネーター:岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部), 松本 英夫(医療法人丹沢病院)

委員会:児童精神科医療委員会

 世界保健機関は、2018年6月にICD-11の死亡・疾病統計のためのバージョン(Morbidity and Mortality Statistics; MMS)をネット上で公開した。その中ではそれぞれの診断項目で、上位項目や臨床記述、包含診断と除外診断などが記載されていたが、診断ガイドラインについては示されていなかった。ICD-11 MMSはその後も何度かネット上で更新されていたが、2022年2月に診断ガイドラインに該当する“Diagnostic Requirements(診断要件)”(必要とされる特徴、経過の特徴、文化関連の特徴、性別やジェンダー関連の特徴、鑑別診断などを含む)が追加されたことで、ICD-11を本格的に臨床的に活用する準備が整った。
 またDSM-5は、米国精神医学会によって2013年5月に出版され、日本でも日本精神神経学会 の監修により2014年6月に日本語訳が出版されていたが、2022年3月に改訂版であるDSM-5-TRが出版された。DSM-5からの変更点として、診断基準についてはICD-11との調和を図るという目的などから、一部の診断名や「特定せよ」の部分などで変更がみられた。また診断基準以外の部分では、有病率、危険要因と予後要因、性別やジェンダーに関連する診断的事項などで、最近の研究の結果を反映させるなど、改訂が行われた。
 このようにICD、DSMともに、精神科の診断分類は大きな転換点を迎えており、児童青年期精神医学の関連領域でも、診断概念、診断ガイドライン、診断基準について、大きな変化がみられている。本シンポジウムでは、児童青年期精神医学に関連した領域で特に大きな変化がみられた6つの診断領域(知的能力障害あるいは知的発達症、自閉スペクトラム症と注意欠如多動症、複雑性PTSDや遷延性悲嘆をはじめとするトラウマ関連障害、回避・制限性食物摂取症を含めた摂食障害、性別違和あるいは性別不合、ゲーム行動症あるいはインターネットゲーム障害)について、新しく提示された診断ガイドライン/診断基準を紹介し、今後の臨床的適用について討論を行うものとする。