第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会シンポジウム

委員会シンポジウム13
認知症者の経済的支援

2023年6月22日(木) 13:15 〜 15:15 J会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G403+G404)

司会:數井 裕光(高知大学医学部神経精神科学講座), 森村 安史(一般財団法人仁明会仁明会病院)
メインコーディネーター:數井 裕光(高知大学医学部神経精神科学講座)
サブコーディネーター:井藤 佳恵(東京都健康長寿医療センター研究所福祉と生活ケア研究チーム)

委員会:認知症委員会

国際アルツハイマー病協会が2022年に発表した報告書は、「診断後支援が提供できないのであれば、診断を受けることを推奨すべきではない」という一文で始まっている。適切な診断後支援は今や、最善の医療を構成する必須の要素と考えられる。認知症の診断後支援には、疾患教育をふくむ情緒的支援、医療受療の支援、障害福祉サービスや介護保険サービスの利用支援、ピアサポートやインフォーマルサポートの利用支援、経済的支援、さらに令和4年度から制度化された若年性認知症者に対する就労支援などが含まれる。この中で、本シンポジウムでは、認知症とその家族の生活を維持するために最も基本となるにも関わらず、これまで注目されてこなかった「認知症者への経済的支援」について、精神科医に必要な知識を整理するとともに、課題を共有し、ディスカッションを通してよりよい対応を考える。具体的には、経済的支援を、1.制度利用による費用補助・負担軽減などの支援、2.経済被害等にともなう損失の回避・経済的虐待からの保護等に大別する。そして1.については、認知症者が利用できる社会資源とその有効な活用法を共有し、課題と対応等についても議論する。2.については、精神科の日常臨床のなかで、成年後見申立ての診断書や鑑定書を書く機会が増えている状況を鑑み、認知機能障害が経済活動や財産管理能力に与える影響について理解を深めるとともに、「家族がもめている際の鑑定書作成の留意点」など臨床で多くの精神科医が悩んでいる課題について議論する。また近年、認知症保険が広がり、精神科医の立場で疑義照会に回答する機会が増えている。そこで、精神科医が知っておくべき認知症保険に関する知識を整理するとともに、精神科医が本保険を有効に活用する方法などについて議論する。