○中尾 智博 (九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
セッション情報
委員会シンポジウム
委員会シンポジウム14
一般診療に活かす各種精神療法-学派を超えた通院精神療法の在り方-
2023年6月22日(木) 15:30 〜 17:30 D会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G303+G304)
司会:大野 裕(大野研究所), 福田 正人(群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学)
メインコーディネーター:池田 暁史(大正大学心理社会学部臨床心理学科)
サブコーディネーター:中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
委員会:精神療法委員会
私たち精神科医は、保険診療に従事している場合、外来での5分強の診察に対して「通院精神療法」を請求することができる。これが精神科の病院や診療所にとって、非常に大きな経営的基盤になっていることは論を待たない。これは、精神科医が医療機関において、患者の訴える症状や苦痛を受け止め、それに対して精神医学的知識に基づく適切な指示や助言などの介入を行うことに対して認められているものである。
ところが、目の前の患者に診療明細書を示されながら「先生、この通院精神療法って何に対する料金なんですか。先生は具体的に何をしてくださってるんですか」という類の質問をされたときに、自分の提供している診療のどこがどう通院精神療法に値するのかということを明確に説明できる精神科医がどれだけいるであろうか。
この質問に対する、もっとも想定しやすい回答は「支持的精神療法というものを提供しています」というものかもしれない。しかし、自分の行っている介入の何がどう支持的なのかを明確に答えられる会員も実はそう沢山はいないかもしれない。これはある意味では当然のことで、本邦における支持的精神療法とは、米国のように力動精神療法の一形態という明確な定義づけのない、さまざまな精神療法の知識や技法、先人の知恵などが反映された集合知だからである。
現代においては医療の世界においても、説明責任や透明性が強く求められる。通院精神療法についても、私たちはもう少し具体的に患者や患者家族、さらには広く国民に説明できるようになる必要があるであろう。精神療法委員会では第118回学術総会において「日常臨床における精神療法的アプローチーー時間的制約のなかで何ができるのか」というシンポジウムを企画し、この問題に焦点を当てた。
今回も引き続きこの課題に取り組み、各種の専門的精神療法を行っている臨床家が、通常の外来診療において自身の専門性をどのように一般化しているのかについて考察し、指定発言者やフロアも含めて広く議論したい。
○中村 敬 (東京慈恵会医科大学森田療法センター)
○池田 暁史 (大正大学心理社会学部臨床心理学科)
○原田 誠一 (原田メンタルクリニック)
○藤山 直樹 (個人開業)