○山口 創生 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
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委員会シンポジウム
委員会シンポジウム2
精神科医療スタッフとして乖離的スティグマにどう立ち向かったらよいのか
Thu. Jun 22, 2023 8:30 AM - 10:30 AM D会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G303+G304)
司会:金井 玉奈(富士リハビリ病院精神科), 小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)
メインコーディネーター:金井 玉奈(富士リハビリ病院精神科)
サブコーディネーター:小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)
委員会:アンチスティグマ委員会
近年糖尿病臨床においてスティグマ問題が重要項目として注目を集めており、日本糖尿病学会では2020-2021年度の治療ガイドラインの目標の1つに「スティグマを取り除く」という項目を掲げ血糖コントロール不良な患者を模範的患者のイメージから逸脱した落伍者とみなして蔑むことに由来する乖離的スティグマへの取り組みが積極的になされている。精神科臨床においても 患者には其々の生活があり 社会的経済的事情 価値観も様々で 治療は人生の一部にすぎない。さらに向精神薬の進歩、地域包括、多職種医療チームのアプローチの充実等によって、治療方法や目標を医療スタッフと一緒に考え、地域社会に戻ることが可能な患者も増えている。これらを軽視して医療従事者が、患者は定期的に通院(もしくは入院)し、指示した薬を指示したように内服すべきなどと一方的に模範的患者像を作り上げそうなるべく要求してしまうと、患者の現実感との間にギャップ(乖離)が生じ 治療中断もしくは症状再燃、さらには患者にセルフスチィグマを植え付けることになってしまう。医療現場では患者の不快な気持ちは気づかれにくく 善意に基づき患者のためにと考えて発した言葉がスティグマとなり患者を傷つけてしまうことがある。本来ならば患者が信頼を寄せてくれている医療従事者が果たす役割は重要で 医療従事者が関与する乖離性スティグマは最も撲滅しやすいスティグマ要因のはずである。乖離的スチィグマを戒めとして、患者を擁護すべき存在ではなく、治療方法や目標を一緒に考え決定権をもつチームメートと考えるなど、今一度我々の立ち位置を見つめ直し 上下関係になり易い医療スタッフ‐患者関係の構築を再検討することが治療中断や症状再燃、長期入院の回避に役立つのではないかと考えた。
本シンポジウムでは、精神科医療スタッフとして、乖離的スティグマにどう立ち向かっていくかをフロアの皆様とともに論じていきたい。
○松原 敏郎, 中川 伸 (山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座(精神科神経科))
○田中 悟郎 (長崎大学医学部保健学科)
○津田 菜摘 (同志社大学心理学部)
○小口 芳世 (聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)