JSPN119

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委員会シンポジウム

委員会シンポジウム31
地域ケアにおいて求められるアウトリーチ支援を考える

Sat. Jun 24, 2023 8:30 AM - 10:30 AM N会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G412+G413)

司会:藤井 千代(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部), 林 輝男(清和会西川病院診療部)
メインコーディネーター:藤井 千代(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
サブコーディネーター:林 輝男(清和会西川病院診療部)

委員会:地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会

地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会では、地域で当事者のリカバリーを支援するにあたり充実が求められるケアの方法として、アウトリーチ支援に着目した。これまで精神科領域のアウトリーチ支援の議論は、ACT(Assertive Community Treatment)に代表されるような多職種アウトリーチのあり方やその普及に関することが中心であった。ACTは、統合失調症や双極性障害などのsevere mental illness(SMI)を持つ人々に多職種チームが直接訪問して集中的なサービスを提供することにより、入院期間の短縮や地域生活の安定、利用者の満足度の向上等につながることが示されている有効な支援方法である。しかしながら、現在の地域ケアにおいては、SMIにとどまらない様々な精神疾患をもつ人や、症状や障害の程度が比較的軽く精神医療ニーズよりも生活支援ニーズが高い人、就労を希望しているが通所型支援では十分な効果が得られない人などを含む、より広範な属性をもつ人々への支援が求められている。支援対象者が支援を必要としている場所に出向いて働きかけること全般をアウトリーチ支援とすると、精神科領域には様々な類型の実践が存在する。大きくは、支援対象者との契約が存在する契約型のサービスと、契約が存在しない非契約型のサービスに分けられる。契約型サービスとしては、訪問診療や訪問看護等の医療サービス(医療中心型アウトリーチ)、自立生活援助などの福祉サービス(福祉中心型アウトリーチ)が考えられる。非契約型サービスとしては、保健師による訪問支援や認知症初期集中支援チームなど、自治体等による公的支援がこれに相当する(保健中心型アウトリーチ)。地域には、支援を必要としながらも自ら支援を求めない、あるいは求められない人が数多く存在することや、施設外で本人と行動を共にすることがより有効な支援につながる場合も少なくないことを考慮すると、様々な類型のサービスが連携・役割分担をしながら地域にバランスよく存在することが、より望ましい地域ケアの基盤となるものと考えられる。本シンポジウムにおいては、まず精神科領域のアウトリーチ支援の全体像を概観し、地域の支援体制構築においてアウトリーチ支援に求められると考えられることについて話題提供を行う。そのうえで、訪問診療や訪問看護、Individual Placement and Support(IPS)等の医療機関が実施するアウトリーチ支援、公的な立場で行うアウトリーチ支援について具体的な実践を踏まえて論じ、福祉および行政の立場からの視点も踏まえつつ議論を深めていきたい。