第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会シンポジウム

委員会シンポジウム36
「精神疾患の予防と回復」高等学校教科書掲載1年後の現状と課題

2023年6月24日(土) 10:45 〜 12:45 P会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G416+G417)

司会:鈴木 道雄(富山大学学術研究部医学系神経精神医学講座), 渡辺 雅子(新宿神経クリニック精神科)
メインコーディネーター:小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)
サブコーディネーター:渡辺 雅子(新宿神経クリニック精神科)

委員会:アンチスティグマ委員会

2022年度から高等学校の保健体育の教科書に「精神疾患の予防と回復」の内容が盛り込まれた。具体的にはうつ病、統合失調症、不安症、摂食障害の精神疾患名ならびにその症状、対処が記載され、公教育を通じて高校生が精神保健を学習することは実に40年ぶりであり意義深いものと考える。しかし、一方で一部の高校生の中には、精神疾患の話題が授業で取り上げられることにより、自身の問題と結びつけて何らかの心身の不調を訴えるケースが生じている。主に授業は高校1年次の1学期に実施される事が多く、高等学校進学後の環境に適応しづらい時期と重なるが、特に思春期・青年期の方々と接する機会のある医療関係者や教育関係者はこうした学校教育の変化にも関心を向けて支援していくことが重要である。教育現場においては主に高等学校教諭が授業をどう教えていくかという点に注目が集まっているが、学校教育の中では養護教諭による個別指導等も大切である。そして当事者や高校生に近い世代(大学生)が精神疾患が教科書に掲載された事をどのように受け止めているかを知っておく事もまた重要である。本シンポジウムでは「精神疾患の予防と回復」高等学校教科書掲載1年後の現状と課題についてフロアの方々とも議論を深めていきながら、参加者が今後学校や関係諸機関と連携して思春期青年期の方々のこころの成長と発達を支えていくための一助になればと考えている。