○阿部 惠一郎 (あべクリニック)
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委員会シンポジウム
委員会シンポジウム7
公認心理師法施行5年を振り返って
Thu. Jun 22, 2023 10:45 AM - 12:45 PM I会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G318+G319)
司会:阿部 惠一郎(あべクリニック), 中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
メインコーディネーター:中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
サブコーディネーター:阿部 惠一郎(あべクリニック)
委員会:心理職に関する委員会
公認心理師法が施行され、5年が経過した。心理職が公認心理師として国家資格化されたことにより、一定水準の知識・技能が担保された信頼性のある共通基盤が作られ、医療における専門職としての地位が確立されたことは大きなメリットである。精神科医療の領域では精神科医とのコミュニケーションが円滑に行えるようになり、他職種とのチーム医療においてもスムースな連携が行えるようになった。精神科医療はチームとして各職種が果たす役割が重要であり、心理職において公認心理師資格が作られ、一定の水準が担保されることはチーム機能の向上につながり、すでに一定の効果が得られつつある。加えて、関連する教育、福祉、司法、産業といった領域においても、国家資格化により心理職がその専門性を高めていける土壌が整いつつある。
しかし、公認心理師の資格保持者が年々増える一方で、精神科臨床の現場をみると公認心理師の採用が思ったほど進んでいない現状がある。これは診療報酬上のメリットが担保されていないことの影響が強いように思われる。複雑な心理アセスメントのテストバッテリー等を公認心理師が実施することに対し、適切な診療報酬が査定されることが公認心理師の地位向上と普及につながるので、その実現を期待したい。もう一点、公認心理師の資格を取得した者の中には、医療、教育、福祉、司法、産業において他の医療、福祉の国家資格により臨床現場で実務を行ってきた者、あるいはまだ十分な実務経験を積んでいない者など、様々な立場の者が含まれていると思われる。それらの方が公認心理師としてどのようにして経験を積み、医療や関連する他領域においてその役割を果たしていけるかも今後の課題である。このことに関係して、資格取得後の研修体制が現時点では十分とは言いがたいと思われ、継続的、包括的な研修制度の構築が望まれる。
本シンポジウムでは、公認心理師法施行5年を振り返り、法の成立によって達成されたことと今後の課題について議論したい。登壇者のうち、宮岡、下山は公認心理師を養成する機関に所属する立場から、林は日精協理事・精神科病院の立場から、そして阿部はクリニック医師・本学会心理職委員会委員の立場からそれぞれ提言を行う。指定発言者の佐藤は、登壇者の発言を受け、診療報酬や心理検査、アセスメント実施における現在の課題について言及する予定である。
○下山 晴彦 (跡見学園女子大学心理学部)
○宮岡 佳子 (跡見学園女子大学心理学部臨床心理学科)
○林 道彦 (医療法人社団うら梅の郷会朝倉記念病院)
○佐藤 忠彦 (社会福祉法人桜ヶ丘社会事業協会桜ヶ丘記念病院)