○布施 泰子 (茨城大学保健管理センター)
Session information
オンデマンド配信限定セッション
オンデマンド配信限定セッション2
同席面接の勧め
司会:布施 泰子(茨城大学保健管理センター)
メインコーディネーター:布施 泰子(茨城大学保健管理センター)
サブコーディネーター:渡辺 俊之(渡辺医院/高崎西口精神療法研修室)
精神科の診療では医師患者関係が重要であることは言うまでもなく、診療は医師患者一対一で行われているのが日常でしょう。しかし、精神科医が同席面接という選択肢にオープンであれば、患者を取り巻く人達との関係も、意識して、利用することができます。
診断(見立て)においては、情報が質的にも量的にも増え、客観的患者像が立ち上がります。治療においては、家族(親、配偶者、子ども達、親戚)などのリソースに意識が向きます。本シンポジウムでは、初めに同席面接の総論的なことを、ついで配偶者同席面接、親子同席面接、高齢者と家族の同席面接について、その方法やメリットを紹介します。ほとんどの精神科医が、アルコール依存症、摂食障害、うつ病などの多くの精神疾患の経過に家族関係が影響することを理解しているし、患者受診前に先行して家族から相談を受けることも体験しているはずです。
シンポジストは、いずれも家族療法・システム論を自身の臨床の背景に持つ精神科医です。家族療法は、家族をシステムとして認識し、精神疾患の治療において家族を含めた力動を利用する治療方法の総称です。
「次の診察の時に、家族が一緒に来たいと言っています。」と患者から言われたらどう思うでしょうか。「家族が一緒に来ると、時間がかかるから煩わしいなあ」「患者さんに批判的なことを言われて、これまでの治療関係が崩れる方向に持っていかれると嫌だなあ」あるいは単純に、「家族に会うのは苦手だなあ」など、消極的な気持ちになる医師も多いと思います。家族だけで相談に来たときに「本人を診ないとわかりません」と門前払いする医師もいるかもしれません。家族に会わないのは、ある意味で宝の持ち腐れです。
もし、医師が同席面接にオープンであったら、もう一歩積極的に「家族が一緒の時、患者さんはどんな様子なのか、家族は患者さんに対してどんな風なのか、見てみたいからちょうどよかった」「よかった!家族が治療に参加してくれるよいきっかけができる」と考えることができるでしょう。
精神科診療において、医師患者家族の三者の関係性を利用しない手はありません。医師が患者と会っている時間は限られています。家族が治療に参加してくれれば、大きな恩恵が得られます。家族は、精神科医以上に一緒にいる時間が長いからです。
○中村 伸一 (中村心理療法研究室)
○森野 百合子 (成増厚生病院精神科)
○渡辺 俊之 (渡辺医院/高崎西口精神療法研修室)