○呉 宗憲 (東京医科大学病院小児科・思春期科)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム101
朝起きられない不登校児への多面的な評価と介入
2023年6月24日(土) 13:15 〜 15:15 D会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G303+G304)
司会:小鳥居 望(仁祐会小鳥居諫早病院神経精神医学講座), 大森 佑貴(東京都健康長寿医療センター精神科)
メインコーディネーター:小鳥居 望(仁祐会小鳥居諫早病院神経精神医学講座)
サブコーディネーター:神林 崇(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構/茨城県立こころの医療センター)
つい先日、文科省から今年度の小中学校の不登校児童生徒数が24万4940人と、前年度より4万8813人増え、過去最大の増加率(対前年度)であったことが報告された。いじめや学業不振など要因は多岐にわたるが、多くは睡眠相の後退や起床困難といった睡眠問題に行き着くことが多く、中学生を対象とした不登校の要因に関する調査では、「朝起きられない」が最多であった。これらは起床困難へのアプローチが不登校への取り組みとして重要な鍵となることを示唆するものである。診断として使われる小児科領域からの起立性調節障害と睡眠医療からの睡眠相後退症群は各々別々の疾患概念であるが、相互に並存していることが多くみられ、共に視床下部の機能不全と考えられる。さらにADHDやASDなどの発達神経症で認められる不注意や過集中、先延ばし癖、感覚過敏性(静かな夜を好む)、ストレス脆弱性などの夜更かしに繋がりやすい特性がその背景にあることも多い。
これまでは有効な治療法に乏しく、対応に難渋することが多かったが、メラトニン系薬剤やオレキシン拮抗薬などの安全性の高い睡眠薬による早寝対策、少量のアリピプラゾールの内服による起床対策など、薬理的な選択肢も増え、これらを心理療法的アプローチと組み合わせることで奏功するケースも多くみられるようになった。
本シンポジウムでは、睡眠を切り口に再登校に繋げる役割を託される機会が多い、小児科医、睡眠専門医、心理士、精神科医が、それぞれの視点から、朝起きられない児童に日常的に行っている治療介入を紹介しながら、起床困難へのアプローチについて多面的に理解を深める場としたい。
○高江洲 義和 (琉球大学精神病態医学講座)
○綾部 直子1,2 (1.秋田大学教育文化学部, 2.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
○大島 勇人1,2, 小鳥居 望2,3, 小曽根 基裕2, 内村 直尚2 (1.医療法人勇愛会大島病院, 2.久留米大学病院精神神経科, 3.医療法人仁祐会小鳥居諫早病院)
○神林 崇 (筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構/茨城県立こころの医療センター)