○岡村 優子 (国立がん研究センターがん対策研究所支持・サバイバーシップTR研究部)
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シンポジウム
シンポジウム12
死別の精神医学
Thu. Jun 22, 2023 10:45 AM - 12:45 PM G会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G314+G315)
司会:藤澤 大介(慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神・神経科), 明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野)
メインコーディネーター:明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野)
愛する人を失うことは、多くの人にとって人生で最大の苦しみである。家族や遺族のケアに際して最も重要なものの一つがグリーフケアである。グリーフとは、近親者の死を代表とする喪失によってもたらされる様々な反応を包含した概念であるが、一般的には深い悲しみや苦悩などのこころの状態に焦点をあてられることが多い。愛する人との死別によって悲しみを経験することは、人間にとってごく自然で普遍的なこころの動きでもある。一方で、死別後にうつ状態になり精神科医が関与することも稀ではなく、自死という悲痛な結末を迎えることもある。
死別後にみられる精神症状に関しては、その診断概念にも歴史的変遷があり、ICD-11やDSM-5-TRでProlonged Grief Disorderがはじめて独立した疾患単位として認められたことは記憶に新しい。うつ病の扱いもいまだ定まっているとも言い難く、死別後のうつ状態を過度に医療に取り込むことに警鐘を鳴らす識者も多い。こういった状況の中、2022年に本邦初の遺族ケアガイドラインが日本サイコオンコロジー学会から発刊された。本ガイドラインは遺族ケアに関して、既存のエビデンスの乏しさ、中でも日本の知見の乏しさを示し、今後の研究の必要性を強く示唆する内容になっている。
本シンポジウムでは、遺族ケアガイドラインを紹介するとともに、死別後にみられる精神症状について歴史的経緯を振り替えながら、現時点における治療のstate of the artを含め、今後の課題を共有したい。
○倉田 明子 (広島大学病院精神科/緩和ケアチーム)
○中島 聡美 (武蔵野大学人間科学部)
○利重 裕子 (名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野)