JSPN119

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シンポジウム

シンポジウム13
精神疾患におけるヒューマノイドロボットを用いた支援の現状と今後の課題

Thu. Jun 22, 2023 10:45 AM - 12:45 PM H会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G316+G317)

司会:村松 太郎(慶應義塾大学医学部精神神経科), 松本 吉央(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
メインコーディネーター:熊崎 博一(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科未来メンタルヘルス学分野)
サブコーディネーター:加藤 隆弘(九州大学大学院医学研究院精神病態医学), 吉川 雄一郎(大阪大学大学院基礎工学研究科)

オンデマンド配信対象外

最近のヒューマノイドロボット技術の発展には目覚ましいものがある。外見、動作認識、動作生成の性能の進歩も目を見張るものがある。音声認識、音声合成の技術も高く、身振り手振り、表情、視線など、多様な情報伝達手段を用いての対話が可能となっている。また自立対話技術の進歩も目覚ましく、静寂な環境設定で話題を限定した際には、対話者にとって違和感のない長時間対話も可能となってきている。
精神科臨床においてもロボットの利用が期待されている。発達障害者支援を目標とした研究では、発達障害者のロボットへの親和性を背景に、主にコミュニケーション能力改善のためのロボットセラピーの予備的研究が世界各地で行われ、エビデンスも蓄積されてきている。認知症支援の分野においてもロボット介護機だけでなく、心理的な援助を目的とした研究が進んでいる。その他、統合失調症、気分障害、不安障害領域においてもロボット研究が始まってきている。遠隔診療の分野でも期待が高まっている。本シンポジウムでは、精神障害者へのヒューマノイドロボット研究に長年携わっている、精神科医、ロボット工学者がロボット研究の現状・今後の展望について議論する。
「発達障害診療におけるヒューマノイドロボットを用いた支援の可能性」では、本分野に長年従事してきた精神科医が、世界各国の発達障害支援研究の現状について概説する。自身が現在まで行ってきた発達障害者へのロボット研究について報告する。発達障害支援においてロボットだからこそ可能な役割について考察し、ロボットが発達障害者支援に果たす役割について展望する。
「診療支援を目指したコミュニケーションロボットの開発」では、本分野に長年従事してきたロボット工学者が、世界各国のコミュニケーションロボット開発の現状について概説する。また自身の経験、及び今日までの精神障害者への実証実験の結果を踏まえ、今後精神科医療に用いるために必要な開発について考察する。
「うつ病、ひきこもり患者にロボットだからこそ可能な役割」では、うつ病やひきこもりの分野を専門とする精神科医が、小型の人型ロボットを用いたうつ病、ひきこもり患者診療支援の実践について報告する。また実践結果を基に、うつ病や引きこもり患者支援においてロボットだからこそ可能な治療的役割について考察する。
「人に触れることで感情に働きかけるロボットの開発」では、ロボット工学者が、自身の開発したロボットが能動的に人の手に触れてモチベーションを向上させ、感情を想起し、自己開示など向社会的行動を促し感情に働きかけられることを明らかにした研究成果について解説する。また今後のさらなる改良について考察する。
「精神科診療におけるロボット導入の課題」では、現在まで15年以上本分野を先導してきた児童精神科医が、自身が勤務してきた総合病院、自身が院長を務めるクリニック外来にロボットを設置してきた実践例について説明する。そのうえで今後、ロボットが臨床現場で活躍するための課題について考察する。