○宇佐美 貴士1, 熊倉 陽介2, 高野 歩3, 金澤 由佳4, 堤 史織5, 松本 俊彦5 (1.北九州市立精神保健福祉センター, 2.東京大学医学部附属病院, 3.東京医科歯科大学大学院精神保健看護学分野, 4.成城大学治療的司法研究センター, 5.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム21
依存症調査研究事業の成果紹介
2023年6月22日(木) 13:15 〜 15:15 K会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G402)
司会:木村 充(国立病院機構久里浜医療センター精神科), 松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
メインコーディネーター:松下 幸生(国立病院機構久里浜医療センター精神科)
サブコーディネーター:松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
精神疾患としての依存症の対象は、従来はアルコールや薬物といった物質のみであったが、2013年に改訂されたDSM-5では、病的賭博の病名がギャンブル障害と変更になり、その分類も衝動制御の障害から物質関連障害および嗜癖性障害群に変更となって、行動にも依存があることが認められるようになった。また、インターネットゲーム障害が、今後の研究のための病態として記載された。一方、いわゆるギャンブル依存は、ICD-10では病的賭博の病名で習慣および衝動の障害に分類されていたが、ICD11では、DSM-5同様に物質使用症または嗜癖行動症として、嗜癖行動として収載されることになり、さらにゲームも嗜癖行動として収載されることになって、依存対象は、かつてのアルコールや薬物といった物質のみであった状況から大きく変化するに至った。最近では、ギャンブルやゲームの他にも、窃盗、性行動、買い物、食べ物などの行動に対する依存も臨床で取り上げられるようになっている。このように依存は、対象が拡大する傾向にある。一方、アルコールや薬物は、危険ドラッグなどの問題を除けば、依存物質そのものは大きな変化がないのに対して、行動嗜癖においては、その対象も時代とともに変化するという特徴がある。そのため、アルコールや薬物依存も同様ではあるが、行動嗜癖については、さらに実態の把握は不十分であり、治療や支援の方法、予防などの対策も模索が続いているのが現状である。このような状況において、厚生労働省が実施する事業として、久里浜医療センターと国立精神・神経医療研究センターは共同で、依存症対策全国センター事業を行っており、その事業の一つとして、依存症に関する調査研究事業が行われている。アルコールやギャンブル、ゲームへの依存については、久里浜医療センターが担当し、薬物は、国立精神・神経医療研究センターが担当している。その目的の一つは、アルコール健康障害対策基本法やギャンブル等依存症対策基本法に基づき定期的に更新される依存症対策推進基本計画策定に資することであり、依存症の実態把握、相談支援や治療の充実、地域資源の充実、依存症についての普及・啓発などに関する調査研究が中心となっている。調査研究事業の具体的な内容やその成果は、依存分野の有識者を対象に開催される調査研究会において毎年報告され、承認を得ながら実施しているが、事業そのものは平成30年に始まったばかりであり、依存関係の研究者や専門家等以外には、ほとんど知られていないのが現状である。本シンポジウムは、精神科医療に従事する医療者を対象に、本調査研究事業で得られた成果の一部を紹介することを目的として提案させていただく。アルコール、薬物、ギャンブルの依存の実態等について成果を報告する予定である。
○嶋根 卓也1, 高橋 哲1,2, 近藤 あゆみ1, 大伴 真理惠3, 小林 美智子4, 秋田 悠希5, 竹下 賀子6, 松本 俊彦1 (1.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 2.お茶の水女子大学生活科学部, 3.東京拘置所, 4.名古屋矯正管区, 5.法務省法務総合研究所, 6.富山少年鑑別支所)
○新田 千枝 (独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター臨床研究部)
○松下 幸生, 新田 千枝, 柴崎 萌未, 西村 光太郎, 松﨑 尊信, 樋口 進 (国立病院機構久里浜医療センター精神科)
○樋口 進 (独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター精神科)
○成瀬 暢也 (埼玉県立精神医療センター精神科)