第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム25
向精神薬と自動車運転 -エビデンスの医療への実装、そして課題-

2023年6月22日(木) 15:30 〜 17:30 B会場 (パシフィコ横浜ノース 1F G5)

司会:吉村 玲児(産業医科大学精神医学), 岩本 邦弘(名古屋大学精神科)
メインコーディネーター:松尾 幸治(埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科)
サブコーディネーター:中林 哲夫(独)医薬品医療機器総合機構研究支援・推進部), 岩本 邦弘(名古屋大学精神科)

これまで向精神薬の本邦における添付文書では、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないことを規定しているものが多かった。自動車の運転技能に及ぼす影響を検討し適切な注意喚起を行うことは、患者の安全を守るだけでなく、治療の選択肢が広がり患者に適切な治療薬が提供され症状の悪化及び再発防止に寄与できる。眠気等の副作用が少ない向精神薬が利用可能になった現状では、新薬や既承認薬の影響の程度を評価し適切な注意喚起を行うことが望まれる。「向精神薬が自動車の運転技能に及ぼす影響の評価方法に関するガイドライン(案)」は、日本精神神経学会とも連携して作成され、パブリックコメントも終了し最終化に向けた準備が行われている。既に自動車運転シミュレータの開発も完成しており、本ガイドラインの完成後は、向精神薬の影響を評価する基盤は整う。向精神薬の自動車の運転技能への影響には個人差があり、向精神薬の影響の評価、つまり薬効評価と個々の当事者での運転適性の評価は同義ではない。このため、本シンポジウムでは、向精神薬の影響の評価に関する現状とエビデンスの医療への実装での課題を議論する。