○中澤 太郎1,2, 小原 知之1,2, 二宮 利治2 (1.九州大学大学院医学研究院精神病態医学, 2.九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野)
Session information
シンポジウム
シンポジウム29
わが国における認知症の疫学研究の最前線
Thu. Jun 22, 2023 3:30 PM - 5:30 PM H会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G316+G317)
司会:小原 知之(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
メインコーディネーター:小原 知之(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
WHOが提唱したGlobal action plan on the public health response to dementia 2017-2025が掲げる目標は、認知症の人とその介護者や家族の生活を改善し、認知症が地域および国家に及ぼす社会的負担を低減することである。わが国は超高齢社会を迎え、認知症がもたらす社会・経済的負担の軽減が喫緊の課題となっている。2021年、米国にてアルツハイマー病の疾患修飾薬としてaducanumabが米食品医薬品局(FDA)の条件付き承認を受けたという報道があり、認知症治療の新たな展開が期待される。しかし、疾患修飾薬は万人への適応が難しいうえ、医療費が高額になるという問題点がある。そのため、効率的な認知症の予防対策を策定するためには、地域住民の認知症の実態を把握し、その危険因子・防御因子を明らかにすることが重要である。1990年代以降、欧米を中心とした認知症の前向き追跡研究の成績から生活習慣病や生活習慣と認知症発症の関係が検討されるようになり、これまでの研究成果から認知症の発症には高血圧や糖尿病などの生活習慣病だけでなく、生活習慣(運動、喫煙、食事性因子など)が密接に関連することが明らかとなった。
わが国では、東京都荒川区、石川県中島町、愛媛県中山町、福岡県久山町で地域高齢住民を対象とした精度の高い認知症の疫学研究が進行中である。本シンポジウムでは、わが国の各地域における認知症の疫学研究で得られた最新の知見を紹介し、日本人における認知症の発症リスク低減の可能性を検討するとともに、得られた知見を社会で実装する際の課題について議論したい。
○文 鐘玉1, 新村 秀人1, 喜田 恒1,2, 色本 涼1,3, 三村 將1 (1.慶應義塾大学医学部精神神経科, 2.社会医療法人あさかホスピタル, 3.慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター)
○伊賀 淳一 (愛媛大学医学部附属病院)
○篠原 もえ子, 小野 賢二郎 (金沢大学医薬保健研究域医学系脳神経内科)