第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム4
ポスト・コロナ時代における精神医学教育と精神科診療

2023年6月22日(木) 08:30 〜 10:30 G会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G314+G315)

司会:中川 伸(山口大学医学部精神科神経科), 中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
メインコーディネーター:中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
サブコーディネーター:中川 伸(山口大学医学部精神科神経科)

2020年に始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは3年を超えようとしている。2022年にはオミクロン株による第6波が襲来し、その感染力の強さで爆発的な感染者数の増加をもたらした。一方で、重症化率や死亡率はパンデミック初期に比して徐々に減少し、緊急事態宣言は2021年9月、まん延防止等重点措置は2022年3月を最後に発令されておらず、社会活動の制限は徐々に緩和されつつある。
COVID-19パンデミックは、本邦における精神医学領域の活動にも大きな影響をもたらした。それは精神医学教育、精神科診療、研究に携わる全国の大学精神科講座においても顕著である。まず精神医学教育においては、医学生の講義や実習にも支障が生じた。講義室への参集が厳しくなり、パンデミック後程なくして、医学部の講義はオンラインが主流となり、現在に至る。またベッドサイドも、ハイリスク患者を多く抱える精神科病棟での実習には慎重にならざるを得ず、多くの大学病院で医学生の精神科病棟への出入りが困難な状況が続いた。精神科診療への影響もまた甚大である。外来診療、入院診療の制限はもちろん、総合病院の役割としてCOVID-19入院患者への対応を行うだけではなく、精神科病棟そのものがCOVID-19治療病棟へと転用された講座も少なくない。またマスク着用をはじめとする感染対策に困難を抱える精神科病棟でクラスターが発生してその対応に苦慮した大学もあったという。そして研究業務もパンデミック禍では中断や遅延を余儀なくされた。
こうした多くの苦難と対峙しつつも、2022年10月現在、ようやくCOVID-19パンデミックは下火となりつつあり、まだ油断はできないものの、COVID-19と共生する社会の姿が見えつつある。本シンポジウムは、全国の大学精神科講座によって構成される講座担当者会議によって企画されたものである。「ポスト・コロナ時代における精神医学教育と精神科診療」をテーマとし、COVID-19パンデミック禍に新しく着任した鹿児島大学、金沢大学、北里大学、久留米大学の各講座担当者(あるいはその講座の教室員)に登壇してもらい、これまでの医学教育、診療における困難やそれへの対応、そしてポストコロナに向けた取り組みについて話題を提供して頂く。指定発言は講座担当者会議の議長を務める群馬大学の福井正人先生にお願いした。ポスト・コロナ時代の精神医学教育、精神科診療に向けて有用な議論ができれば幸いである。