JSPN119

Session information

シンポジウム

シンポジウム40
睡眠からみたAYA世代における精神障害とその予防

Fri. Jun 23, 2023 8:30 AM - 10:30 AM E会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G301+G302)

司会:清水 徹男(秋田県精神保健福祉センター), 根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座)
メインコーディネーター:根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座)
サブコーディネーター:田形 弘実(東邦大学医療センター大森病院東邦大学医学部精神神経医学講座)

睡眠障害は肥満、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクのみならず、抑うつや不安などの精神症状のリスクであり、心身の健康の基本要因と言える。小児の睡眠障害は学習能力や情緒形成を障害することが報告されているほか、精神疾患の早期徴候もしくは発症リスクとしても認知されるようになっている。例えば、小児不眠症はうつ病の罹患リスクを2~4倍に高めることが知られる。精神疾患の75%は24歳までに発症するといわれることも合わせると、AYA(Adolescent and Young Adult)世代睡眠障害へのアプローチは精神疾患の予防においても重要な課題である。また、AYA世代の睡眠障害は起床困難や昼夜逆転により日中の社会活動に参加できなくなるなど、その悪影響も大きい。実際、文部科学省による中学生不登校者実態調査においても、不登校の原因として、26%が生活リズムの乱れを報告している。
近年重視されている精神科早期介入において、睡眠障害がその対象・標的として重要と考えられ、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)においても、「AYA世代の精神疾患高リスク群における予防的睡眠マネジメントに関する研究」(精神障害分野)が採択された。同研究においても、AYA世代の精神疾患高リスク群における起床困難や日中の覚醒維持困難といった、睡眠関連問題が浮き彫りになった。
近年、AYA世代における睡眠障害と様々な精神疾患との関連が注目されるようになった。統合失調症、うつ病における睡眠障害の高い合併率は古くから知られるが、神経発達症での過眠、起床困難も指摘されてきている。睡眠障害は疾患特異性と横断性を含んだ問題と考えられる。
本シンポジウムでは、AYA世代に好発する精神疾患高リスク状態、統合失調症、発達障害、ストレス障害とその睡眠障害に関する、新進気鋭の若手研究者の発表をもとに、睡眠問題を通じた精神障害の予防とメンタルヘルスの向上についての議論を深めたい。