○松田 勇紀1,3, 鬼頭 伸輔1,2 (1.東京慈恵会医科大学附属病院精神医学講座, 2.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 3.京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム43
うつ病へのrTMS治療の今後の発展への取り組み
2023年6月23日(金) 08:30 〜 10:30 I会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G318+G319)
司会:髙橋 隼(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室), 松田 勇紀(東京慈恵会医科大学附属病院精神医学講座)
メインコーディネーター:髙橋 隼(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)
サブコーディネーター:松田 勇紀(東京慈恵会医科大学附属病院精神医学講座)
治療抵抗性うつ病への診療技能の向上は精神科臨床が抱える大きな課題の一つである中、うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療は2019年6月に保険収載された。rTMS保険診療の実施施設からは約40%の寛解率など良好な治療成績が示される一方で、rTMS治療によっても症状が不変あるいは悪化をきたす患者も約25%存在することが報告されており、rTMS治療のさらなる向上が求められている。そこで本シンポジウムではrTMS治療を有効に活用していくための取り組み、さらに、適用の拡大や新たな刺激法の開発を目指す取り組みを紹介したい。シンポジウムでは、本邦のrTMS治療を第一線で牽引している演者らが、rTMSと他の治療の併用療法について(松田勇紀)、レジストリーデータから解析される良好な治療反応を予測する臨床指標について(今津伸一)、うつ病への維持療法およびBipolar depressionへの先進医療について(鬼頭伸輔)、 効果的な刺激法の開発を目指す臨床研究について(野田賀大)、発表をする。さらに各演者からの発表を受けて指定発言者(竹林実)により、rTMS治療の発展が電気けいれん療法とrTMS治療の使い分けなどうつ病診療における様々な治療法の位置づけの再編やニューロモデュレーション治療全般の進展に及ぼす影響について総括する。うつ病へのrTMS治療が保険収載されて約3年半が経過し、rTMS治療の適用となる治療抵抗性のうつ病患者が遅滞なくrTMS保険治療にアクセスできるように本学会ECT・rTMS等検討委員会を中心に適切な普及が目指されている。適切な普及と両輪してrTMS治療の適切な発展のためには、エビデンスに基づいた併用治療の検証、診療データの蓄積と検討、倫理審査を経た臨床研究や先進医療など、科学的妥当性に基づいた取り組みが求められることを意識し、本シンポジウムの参加者でrTMS治療の今後の発展について議論を展開したい。
○今津 伸一1, 髙橋 隼2,3,4,5, 戸井 優樹6, 佐野 祥子7, 池田 俊一郎8 (1.大阪医科薬科大学神経精神医学教室, 2.大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室, 3.公益財団法人浅香山病院臨床研究研修センター, 4.大阪公立大学リハビリテーション学研究科, 5.和歌山県立医科大学医学部神経精神医学教室, 6.公益財団法人浅香山病院精神科, 7.医療法人杏和会阪南病院精神科, 8.関西医科大学精神神経科学講座)
○鬼頭 伸輔 (国立精神・神経医療研究センター病院精神診療部)
○野田 賀大 (慶應義塾大学医学部・精神・神経科学教室)
○竹林 実 (熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座)