○宮岡 等1,2 (1.北里大学, 2.医薬品医療機器総合機構)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム45
口腔領域の難治性疼痛に対し精神科医は何をすべきか?-歯科医と精神科医との対話から
2023年6月23日(金) 08:30 〜 10:30 O会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G414+G415)
司会:名越 泰秀(京都第一赤十字病院精神科(心療内科)), 宮岡 等(北里大学医学部精神科)
メインコーディネーター:宮地 英雄(こころのホスピタル町田精神科)
サブコーディネーター:宮岡 等(北里大学医学部精神科), 名越 泰秀(京都第一赤十字病院精神科(心療内科))
原因のはっきりしない口腔領域の身体症状に関して患者を紹介された時,精神科医は「特に精神疾患はない」などと診療を終了したり,二次的に生じた抑うつ症状の治療のみ行うなど,積極性に関わらず、結果的に歯科口腔外科医や内科医、耳鼻咽喉科医から「紹介しても意味がない」「紹介して良いのか分からない」と言われがちである。このような背景のもと,第116回学術集会において行われたシンポジウム「精神科医からみた口腔領域の身体症状―難しく避けられがちな病態に立ち向かう―」においては,多くの参加者があり反響があった。全国各地域の精神科医も,口腔領域の症状への対応の難しさを実感し、心身の諸問題をどのようにマネジメントしていったら良いかということに苦悩していることをあらためて認識させられた。またこのシンポジウムでは,口腔領域の症状に対し精神科医は何を行うべきかという課題と同時に,連携の相手となる歯科医,歯科医療の現状や希望についての質問も数多く挙がった。この時のシンポジウムでも大きなテーマとなったが,特に早急な対応を迫られているのが,「疼痛」、特に「難治性疼痛」であった。この「難治性疼痛」は,歯科口腔外科領域では「舌痛症」、「顎関節症」、「口腔内異常感症」、また最近は「痛覚変調性疼痛」などとしてとりあげられているが、精神的問題の関与も大きな問題とされているため、臨床現場の歯科口腔外科医など身体科医は,精神科医のより積極的な参画を切望している。精神科医の「難治性疼痛」への関わりは喫緊の課題ともいえる。今回の大会メインテーマは,「目の前の患者さんに最善の医療を提供し,将来さらに良い医療を提供できるように努力する」であり、本シンポジウムはまさにこれに応えるテーマであると考え,今回のシンポジウムを企画した。本シンポジウムでは,まず特に難治性疼痛に対処している歯科医が、歯科口腔外科で精神医学がどのように見られてきたかを概観し、口腔領域の疼痛に対する歯科医の見解と精神科医に求めることについて述べる。後半は、歯科との連携に力を入れている精神科医が,難治性疼痛に対して精神科医が考えること,できることを論じる。そして最後に,両者の間で意見を交換し、あるべき連携の姿と適切なマネジメントについて検討する。歯科医と精神科医との対話と議論は身体科との良好な連携の下に行うリエゾン診療のモデルになりうるとも考えられる。
○村岡 渡 (川崎市立井田病院)
○宮地 英雄 (こころのホスピタル町田精神科)
○名越 泰秀 (京都第一赤十字病院精神科(心療内科))