○谷口 豪 (国立精神・神経医療研究センター病院精神科)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム55
精神科はてんかん診療から離れる時期にきているのか?
2023年6月23日(金) 10:45 〜 12:45 P会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G416+G417)
司会:渡邉 さつき(埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科), 谷口 豪(国立精神・神経医療研究センター病院精神科)
メインコーディネーター:岩城 弘隆(八戸市立市民病院精神神経科)
サブコーディネーター:谷口 豪(国立精神・神経医療研究センター病院精神科)
てんかん学会やてんかん関連のシンポジウムで近年必ず話題になるのが、精神科医のてんかん離れである。精神科はかつててんかん診療の中核的存在だったが、現在ではてんかんは神経疾患であり精神疾患ではない、という考えのもと、てんかん診療を拒否する医師が増えてきている。学会では、脳波やてんかん教育に関連したセッションが毎年学会で行われているが、参加するのはごく一握りの精神科医のみである。換言すれば、精神科のてんかん診療はごく一部のてんかんに興味を持った精神科医と、大多数のてんかんをほとんど診ない一般の精神科医と、二極分化が起こっていると言える。
本セッションは、この二極分化の打開の方向性を模索する。まず精神科とてんかんとの関係を歴史的な背景も踏まえ見直し、そもそも精神科医がてんかんを診るべきかの議論を行う。より包括的な議論を行うため、てんかんを専門分野とする精神科医のみならず、てんかんを専門としない精神科医や、てんかんを専門とする非精神科医、精神科の教育の専門家など、幅広い領域からシンポジストを構成した。
シンポジウム進行予定(シンポジウムの背景5分、各演者20分×4)
1. シンポジウムの主旨説明
演者:谷口豪(国立精神・神経医療研究センター病院 精神科)
2. なぜ日本では精神科医がてんかんを診るのか?
演者:渡辺裕貴(天久台病院 精神科)
てんかんは20世紀の半ばまで、精神科の三大精神病の一つとされ、精神医療の対象とされてきた。まずは歴史を知り、議論の土台作りを行う。
3. てんかんを非専門とする精神科医の意見
演者:古郡規雄(獨協医科大学 精神神経科)
氏は臨床精神薬理学の第一線の研究者である。薬理学の視点のみならず、大学病院という研究・教育機関の立場から、精神科医にてんかんの知識が本当に必要なのかの意見を述べる。
4. てんかんを専門とする一般精神科医の意見
演者:岩城弘隆(八戸市立市民病院 精神神経科)
氏は総合病院の精神科医として、特にリエゾンや他科との連携の観点から、てんかんの知識が有用である場面について解説を行う。
5. てんかんを専門とする非精神科医の意見
演者:柿坂庸介(東北大学病院 てんかん学分野)
氏は小児科医を背景とし、てんかんセンターのスタッフとして特に教育に力を入れている。非精神科医の視点から、精神科の現状と期待について忌憚のない意見を述べる。
6. 総合討論(35分)
指定発言1. 医学教育者の立場から、どこでどのように教えるべきか?
松坂雄亮(長崎県精神医療センター)
指定発言2. てんかんを学ぶ「初心者」として、なにが難しいのか?
高橋弘樹(八戸市立市民病院 初期研修医)
医学教育を専門とする松坂氏、初期研修医を卒業したばかりの高橋氏に指定発言を貰い、「てんかん診療は精神科医に本当に必要か?」について、初心に帰り議論を行う。様々の立場の医師達の議論を通じ、てんかんをどこで、どうやって、どこまで学ぶのかを具体的に考え、精神科医のてんかん診療と教育の現実的な未来を聴衆とともに模索する。
○渡辺 裕貴 (医療法人天仁会天久台病院精神科)
○古郡 規雄 (獨協医科大学精神神経医学講座)
○岩城 弘隆1,2 (1.八戸市立市民病院精神神経科, 2.八戸市立市民病院臨床研修センター)
○柿坂 庸介 (東北大学病院てんかん科)
○松坂 雄亮 (長崎県精神医療センター精神科)
○高橋 弘樹 (八戸市立市民病院)