第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム61
防ぎえる合併症死亡を減らすため、精神科身体合併症の治療の場を考える

2023年6月23日(金) 13:15 〜 15:15 H会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G316+G317)

司会:藤田 潔(桶狭間病院藤田こころケアセンター), 三宅 康史(帝京大学医学部附属病院救急医学講座)
メインコーディネーター:橋本 聡(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター精神科)

重度の精神疾患を有することは過剰死亡率の上昇につながり、自殺、事故そして病死などが一般集団と比べて高率であり、平均余命が短縮することが知られている。2025年度を目途に構築が進められている地域包括ケアシステムにおいて、精神障害を有する方が身体合併症を発生・悪化させない支援体制の整備とともに、救急医療化した際の精神科身体合併症医療の受け皿の整備が重要となる。これは治療のギャップ、治療提供の遅れから生ずる「防ぎえる合併症死亡」を減らす取り組みとなる。これまで、第116回日本精神神経学会一般シンポジウム84において、精神科・一般救急医療連携に関する厚労科研成果と、地域における実践として3つの好事例を提示し、討論を通じて、「地域事情に合わせた最適解が様々あるべきだが、そこには熱意、信頼、好奇心といった要素が不可欠である」と結論付けられた。その後、第118回大会シンポジウム2において、最適解のその先の臨床について身体救急医も交えて討論され、精神科身体合併症の最適な治療の場についての整理が課題として浮かび上がった。令和3年度厚生労働科学研究費補助金 障害者政策総合研究事業 精神科救急医療体制整備の均てん化に資する研究(21GC1010)の分担研究において、精神科身体合併症対応の強化に資する具体策が検討され、精神障害者の身体合併症対応病棟の全国分布が確認された。この中では、心身共に高い水準の治療を提供出来る施設は有床精神総合病院に偏っていたが、精神科救急医療に取り組む単科精神科病院のなかにも好事例があることがわかった。地域の医療資源には地域差が大きく、画一的な施策は取りづらいと考えられるが、「防ぎえる合併症死亡」を減らすためには最低限必要な医療資源や地域連携システムがあると想定できるので、これらを本シンポジウムで明確化したい。シンポジストとして以下のメンバーを考える。①一般精神科救急・地域移行まで実践する有床精神総合病院の医師、②入院機能に絞った小規模有床精神総合病院の医師、③地域連携により対応力を高める単科精神科病院の医師、④自院内での身体合併症対応力を高める方針をとる単科精神科病院の医師、⑤救急科専門医でありながら精神科臨床にも取り組む医師。これらの各演者に講演いただき、議論を深めたい。なお、本シンポジウムは日本精神科救急学会の推薦による。