○八田 耕太郎 (順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム69
せん妄の臨床現場に残された重要課題とその対策・展望
2023年6月23日(金) 15:30 〜 17:30 E会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G301+G302)
司会:八田 耕太郎(順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック), 岸 泰宏(日本医科大学武蔵小杉病院精神科)
メインコーディネーター:八田 耕太郎(順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック)
サブコーディネーター:岸 泰宏(日本医科大学武蔵小杉病院精神科)
せん妄は、高齢人口が増加する中、一般医療にとって最も頻繁に遭遇する精神疾患になり、社会の関心も高まっている。その対策として、デルタプログラムに代表されるような非薬物的な体系的介入が構築され、電子カルテ上に展開するほど普及している。一方、薬物療法も、従来のせん妄治療としての抗精神病薬に加えて、せん妄予防的な睡眠薬、すなわちメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬が普及しつつある。このようにせん妄臨床は目に見えて進化しているが、今なお、①拒薬する患者にどうアプローチするか、②開始したせん妄の薬物療法をいつ中止するか、③抗精神病薬でも制御できないせん妄をどうするか、④せん妄の出現予測の精度をどう上げるか、といった課題が残されている。①については、内服は拒んでも貼付剤は受け入れる患者が少なくないことが現場での経験から認識されるようになっており、その実態に関して報告する(Hatta et al. Int Clin Psychopharmacol. 2022. doi: 10.1097/YIC.0000000000000428.)。②については、一定の基準をもつことは困難としても、目安の検討をする必要があるように思われる。③については、米国では高用量バルプロ酸の経静脈投与や2022年にはDexmedetomidineの舌下錠が認可されるなど、現在の日本では使用できないが今後の展望において興味を惹く話題がある。④については、簡易脳波計によるせん妄検出と予後予測に関して臨床研究が進行している(Yamanashi T et al. Br J Psychiatry. 2021:1-8 doi: 10.1192/bjp.2021.101.など)
本シンポジウムでは、これらの点についての新たな取り組みや研究の進展を紹介し、今後の展望について議論を深めたい。1.拒薬する患者にどうアプローチするか(順天堂大,八田耕太郎) 2.開始したせん妄の薬物療法をいつ中止するか(広島市民病院,和田健) 3.抗精神病薬でも制御できないせん妄をどうするか(日本医大,岸泰宏) 4.せん妄の出現予測の精度をどう上げるか(スタンフォード大,篠崎元)なお、本案は日本総合病院精神医学会の推薦シンポジウムである。
○和田 健 (広島市立広島市民病院精神科)
○岸 泰宏, 大山 覚照 (日本医科大学武蔵小杉病院精神科)
○篠崎 元 (スタンフォード大学医学部精神科)