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シンポジウム

シンポジウム7
「精神神経医学」を再考する:精神医学と神経医学のボーダーランド

Thu. Jun 22, 2023 8:30 AM - 10:30 AM K会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G402)

司会:曾根 大地(東京慈恵会医科大学精神医学講座), 品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学附属病院精神神経科)
メインコーディネーター:曾根 大地(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学附属病院精神神経科), 兼本 浩祐(愛知医科大学精神神経科精神神経科)

精神医学と神経医学は歴史的に様々な関わりがあり、オーバーラップしている部分も少なからずあるものの、現在はそれぞれが独立した診療科として臨床が行われている。しかしながら、精神疾患と神経疾患の違いとはそもそも何だろうか。多くの精神疾患と神経疾患は共に脳という同じ臓器を舞台として起こることを考慮すれば、両者の線引きは学問側の都合で人為的に分けられた一面があると考えられる。実際のところ、神経疾患や神経症状の知識は精神科臨床でも重要になるし、脳を侵す神経疾患では必然的に多くの精神症状を呈しうるため、両者がより近づいて相互に通じ合うことで脳の臨床がより発展できると思われる。この点において、両者の境界域にある病態や臨床を取りあげて、精神神経医学(Neuropsychiatry)について再考することには一定の意味があるだろう。本シンポジウムでは、そのような精神医学と神経医学のボーダーランドを探索し、精神神経医学の再考を行う。てんかんは、本邦においては精神科医と脳神経内科医の双方がそれぞれ診療しており、両者の間にまたがる代表的な精神神経疾患である。てんかんにおける精神神経医学的側面については、提案者が概説する。認知症も両診療科が臨床を行っており、特にBPSDは精神神経医学にとって重要なテーマである。このような認知症領域について品川俊一郎氏に解説して頂く。多発性硬化症と神経炎症疾患は脳神経内科分野であるが、実際は高次脳機能障害や精神症状を伴うことも多く、精神科医の立場からも興味深い領域である。この分野について、藤盛寿一氏に脳神経内科医の立場からの観点を含めて述べて頂く。更に、神経病理学はこれまで認知症や神経変性疾患だけでなく多くの神経疾患領域の病態生理や診断の基盤となってきた分野である。狭義の精神疾患においては未だ明確なバイオマーカーを得られていないものの、両者をつなげるという意味で神経病理学が果たす役割は大きい。神経病理学から見た精神神経医学について、髙尾昌樹氏に御講演頂く。最後に、精神神経医学のこれまでとこれからについて兼本浩祐氏に指定発言をお願いする。日本精神神経学会は名前にPsychiatryとNeurologyが共に入っている世界的にも貴重な学会でもあり、Neuropsychiatryの再考が、各会員と学会全体の更なる発展とより良い脳の臨床につながることが期待される。なお本シンポジウムは調査・研究ではなく、総説的な内容となるため研究に関する倫理指針には該当しなかった。