○馬場 存 (駿河台大学心理学部)
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シンポジウム
シンポジウム74
精神科臨床での音楽療法の実践-具体的な技法や患者にみられる変化・効果を中心に
Fri. Jun 23, 2023 3:30 PM - 5:30 PM K会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G402)
司会:山本 賢司(東海大学医学部専門診療学系精神科学), 村林 信行(医療法人社団信俊会心療内科アーツクリニック大崎)
メインコーディネーター:山本 賢司(東海大学医学部専門診療学系精神科学)
サブコーディネーター:馬場 存(駿河台大学心理学部), 阪上 正巳(国立音楽大学)
音楽療法の歴史は古く、古代ギリシャ・ローマ時代から音楽は心理療法のひとつとして用いられてきた経緯がある。近年、統合失調症やうつ病、認知症、自閉スペクトラム症などの精神科疾患に対する音楽療法のエビデンスが蓄積されてきており、その多くは精神疾患患者に対する音楽療法の効果に関し、スケールなどを用いた精神症状や行動面の評価を行ったものである。一方で、音楽療法が実際の精神科臨床の中でどのような形で実践されているかについては、音楽療法士以外の領域で明らかにされる機会が少ない。音楽療法には音楽を聴取することで効果を得るような受動的音楽療法や、音楽聴取以外の歌唱や楽器演奏、音楽に合わせて動きを取り入れるなどの能動的音楽療法などの技法があり、疾患の種類や患者の状態により、用いられる技法は異なっている。また、音楽療法は個人セッションとして行われる場合もあるが、精神科臨床で行われる場合は精神病床やデイケア、または、外来の一部で、集団で行われていることが多く、音楽療法が行われる環境や参加する患者集団の構造により技法に工夫が必要だったり、音楽療法により得られる効果に関しても異なることが明らかになっている。
このような状況を踏まえ、今回のシンポジウムでは精神科領域で音楽療法の実践経験があるシンポジストの先生方に、今日の精神科臨床における音楽療法の実践、取り組みについてご講演をいただくとともに、音楽療法士や他のスタッフが、精神疾患患者のどのような特性や行動に着目し、どのような変化を感じているのか、また、それらが精神科臨床全体の中でどのように受け入れられ、継続されているのかについて明らかにしていきたいと考えている(可能であれば、海外での音楽療法の実践に関する知見を含めて)。そして、侵襲性が少なく、患者や家族、支援者からも受け入れられやすい音楽療法が、今後の一般精神科臨床の中でどのように応用され得るのかについて議論を深めていきたいと考えている。
○上羽(糟谷) 由香1,2 (1.白菊園病院リハビリテーション科, 2.京都大学大学院医学研究科)
○伊藤 マミ (聖路加国際病院緩和ケア科)
○森平 直子 (相模女子大学)
○久松 春子 (東京女子医科大学病院)
○村林 信行 (医療法人社団信俊会心療内科アーツクリニック大崎)