JSPN119

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シンポジウム

シンポジウム75
地域連携・地域支援を促進する総合病院精神科医療

Fri. Jun 23, 2023 3:30 PM - 5:30 PM O会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G414+G415)

司会:小石川 比良来(亀田総合病院), 佐藤 茂樹(成田赤十字病院精神神経科)
メインコーディネーター:佐藤 茂樹(成田赤十字病院精神神経科)
サブコーディネーター:小石川 比良来(亀田総合病院)

総合病院精神科医療は院内の他診療科との協働による身体合併症医療に特徴があると思われているが、実際には小規模病棟で精神科救急や精神科急性期医療を担当し、平均在院日数も短いことから早期退院に結びつきやすく、そのことが地域連携や地域支援のネットワークの形成を促進するということに最大の利点があるものと思われる。現在の総合病院精神科病棟は、大部分が30~50床程度の小規模病棟1病棟から成り、慢性期の患者を長期間在院させておく余裕はなく、一般病棟同様の短期の入院期間となっている。そのことにより、入院初期より退院後の処遇を考慮したマネジメントが求められている。いわば医師・看護師を中心とした急性期の医療と、精神保健福祉士を中心とした退院後の処遇を見据えたマネジメントが同時並行して進められる。退院後を見据えたマネジメントにおいては、デイケアや訪問看護といった院内資源だけでなく、市町村や保健所などの行政関係者、地域の訪問看護事業者、福祉事業者などとの連携が必須である。演者の公立置賜総合病院精神科は、地域の基幹総合病院精神科として精神科救急を積極的に引き受ける中で高回転の病棟を維持し入院患者の地域への退院を促している。大阪赤十字病院精神科は、大都市にあって生活困窮者や在日外国人が多く生活する地域を抱えながら、退院後の生活を見据えた地域連携・地域支援を実践している。富山市民病院精神科は院内のデイケア、訪問看護などを利用しながら、大部分の入院患者を直接自宅に退院させており、保健所や行政、かかりつけ医、地域の関係機関などと連携しながら退院支援を行っている。千葉県の旭中央病院精神科は、かつて250床ほどあった病棟を現在は42床にまでダウンサイジングし、ACT的な訪問医療・支援活動を通じて総合病院精神科の地域精神医療機関化を果たしている。このような4人の演者の属する施設のみならず、多くの地域の総合病院精神科は地域連携や地域支援を実践しながら急性期医療を行なっている。いわば厚労省が掲げる「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の実現を可能にする医療機関として総合病院精神科は存在しうるものと考えられる。各演者の報告を通じ地域連携・地域支援を促進しうる総合病院精神科医療の可能性について考えるシンポジウムとしたい。