JSPN119

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シンポジウム

シンポジウム84
曲がり角に立つ精神科入院医療-課題の多様性から将来を探る

Sat. Jun 24, 2023 8:30 AM - 10:30 AM H会場 (パシフィコ横浜ノース 3F G316+G317)

司会:竹島 正(川崎市健康福祉局総合リハビリテーション推進センター), 須田 史朗(自治医科大学附属病院)
メインコーディネーター:竹島 正(川崎市健康福祉局総合リハビリテーション推進センター)
サブコーディネーター:須田 史朗(自治医科大学附属病院)

人口減少と高齢化とともに精神科病床の在院患者数は減少し、高齢化が進んでいる。また新たに入院する患者も高齢者が増加するなど、精神科医療にも身体疾患を含めた総合診療への期待が高まっている。このような変化は全国一様ではなく、都道府県によって、さらに地域によって異なり、各地の精神科医療の現場で、それぞれの地域の現状とニーズ、さらに将来を見据えた取組が行われている。その一方、精神科医療には、精神保健医療福祉上のニーズを有する市民が、病状の変化に応じ、保健、医療、障害福祉・介護、居住、就労等の多様なサービスを、身近な地域で切れ目なく受けられるようにすることが必要という方向が示され、精神科医療には、地域精神保健との一層の連携、精神科病院における患者の権利擁護、患者の意思に基づいた退院後支援、行動制限の最小化の取組等が求められている。これらの社会的要請にどのように応え、かつ曲がり角の先にあるものをどのように創造していくか、それぞれの実践・研究から報告し、議論する。個々の参加者が、今後に向けての何かのヒントを得られるようなシンポジウムとしたい。河野稔明(川崎市総合リハビリテーション推進センター)は、630調査長期データ等をもとに、人口、精神病床数、在院患者数の変化をもとにした都道府県の精神科医療提供の類型化の可能性について報告する。森隆夫(あいせい紀年病院)は、人口の社会増が止まった都市部にある精神科病院の取組と進化について報告する。永田雅子(大口病院)は、人口減少に歯止めのかからない地方にある精神科病院の取組と進化について報告する。北村立(石川県立こころの病院)は、精神科病院における患者の権利擁護、患者の意思に基づいた退院後支援を進めていく中で浮かび上がってきた課題について、医療の質の評価という観点から一般医療と精神医療の比較を交えて報告する。杉山直也(沼津中央病院)は、精神科病院における患者の権利擁護、精神科救急、行動制限最小化についての原点としての考え方と最小化におけるボトムアップの取組推進と行政の役割について報告する。佐伯吉規(がん研有明病院)は、緩和ケアにおける精神科医療ニーズと総合病院精神科ひとり医長の立場を踏まえ、指定発言を行う。須田史朗(自治医科大学)は、高齢化社会に伴う患者全体の高齢化、新規薬剤や新規治療の導入による治療の複雑化、重症摂食障害の増加、発達障害併存例の増加等の大学病院精神科の医療ニーズの変化を踏まえ、指定発言を行う。