○大矢 希 (京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム86
精神科初期研修グレードアップ!
2023年6月24日(土) 08:30 〜 10:30 J会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G403+G404)
司会:松坂 雄亮(長崎県精神医療センター精神科), 杉原 正子(まさこ心のクリニック自由が丘)
メインコーディネーター:松坂 雄亮(長崎県精神医療センター精神科)
サブコーディネーター:杉原 正子(まさこ心のクリニック自由が丘), 岩城 弘隆(八戸市立市民病院精神神経科)
【シンポジウム概要】
2020年度から精神科での研修が再び必修化された。精神科での診療内容は知識的にも技術的にも他科と一線を画すものの、コミュニケーション技術やコンサルテーション・リエゾン活動など、診療科横断的に活用でき、かつ精神科でこそ深く学べる内容も多くあると考える。
しかし、研修環境は総合病院から単科病院まで多種多様であり、研修医の側もモチベーションの高低など個人差が大きい。このような状況の中、何をどのように教えればよいのかわからない指導者も多いと思われる。
本シンポジウムは、第54回日本医学教育学会(2022年)にて好評を博したシンポジウムの内容を深化させたものである。全国各地で奮闘する研修医教育者たちの熱い取り組みを紹介し、「精神医学の何をどのように伝えるか」という教育方略について考える機会を提供する。
【シンポジウム進行予定】
1. 大学病院精神科の立場から(18分)
演者:大矢希(京都府立医科大学)
小規模の病棟と外来に多くの研修医がローテートする上、医学生に対する教育さらには研究活動も並行して行う。学習者・指導者・学習環境のバランスを取りながらの教育実践について紹介する。
2. 総合病院精神科の立場から①(18分)
演者:岩城弘隆(八戸市立市民病院)
三次救急と周産期医療に力を入れる高次医療機関で、精神科病床も有するが指導医が非常に少ない。「心に火を灯す精神医療」をモットーに熱意ある研修医教育を展開し、精神科を志す研修医を生むに至った経験について紹介する。
3. 総合病院精神科の立場から②(18分)
演者:猪狩圭介(飯塚病院)
総合診療・地域医療に力を入れる地域の中核病院で、精神科病棟に加え心身合併症センターを有する。2020年度の臨床研修制度改訂を機に、研修医を精神科リエゾンチーム活動に組み込んだ経験について紹介する。
4. 精神科単科病院の立場から(18分)
演者:松坂雄亮(長崎県精神医療センター)
精神科救急・児童思春期病棟・医療観察法病棟など、精神科らしい診療場面が豊富である。一方でその専門性の高さは、初期研修医にとって教育的なのかどうか、評価が難しい。現場の教育資源と研修医の学習ニーズをマッチさせるための模索について報告する。
5. 医学教育研究者の立場から(18分)
演者:佐野樹(三重県立こころの医療センター)
指導医自身に医学教育の理論や体系への理解が乏しいと研修医の学びにつながりにくいという問題意識から医学教育研究に携わるようになった経緯、そして精神科で特徴的な多職種連携に関する医学教育学的な視点について紹介する。
6. 総合討論(30分)
シンポジストの発表内容を踏まえ、会場の参加者も交えて討論を行う。あらゆる進路に進んでいく研修医が精神科研修を通して普遍的に学べるものは何か、精神科研修をより効果的で意義深く、かつ魅力的にしていくための方略について共に考える。
○岩城 弘隆1,2, 今 明秀2,3 (1.八戸市立市民病院精神神経科, 2.八戸市立市民病院臨床研修センター, 3.八戸市立市民病院救急救命センター)
○猪狩 圭介 (麻生飯塚病院リエゾン精神科)
○松坂 雄亮1,2 (1.長崎県精神医療センター精神科, 2.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経科学)
○佐野 樹1,2 (1.三重県立こころの医療センター, 2.名古屋大学大学院医学研究科総合医学教育センター)