JSPN119

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シンポジウム

シンポジウム89
ストーカー加害者への治療的介入

Sat. Jun 24, 2023 8:30 AM - 10:30 AM O会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G414+G415)

司会:長谷川 直実(医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック)
メインコーディネーター:長谷川 直実(医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック)

 2000年にストーカー規制法が成立した後、ストーカー総合対策として警察庁は、被害者の支援に取り組むとともに、予防策として加害者をカウンセリング等に繋げる取り組みも実施してきた。2015年頃から少しずつ医療機関の中でもストーカーの治療を受け入れるところが現れてきている。警察は、ストーカー加害者に対して、カウンセリング、精神医療につながることを勧奨し、情報提供と治療を受けることの同意をした人が治療につながることになる。ストーカー行為の背景には「アルコールの問題」「躁状態」「妄想状態」「自閉スペクトラム症」など、一般精神医療の枠組みのなかでよくみかける問題や症状がある場合が多い。よく知られていないストーカー加害者への治療について、知ってもらい、受診の受け入れ先が増えることを願い、本シンポジウムを企画する。シンポジストとして、ストーカーのカウンセリングの草分け的な活動を続けてきたNPO法人ヒューマニティ代表の小早川明子氏、行動嗜癖としてのストーキング行為の治療を条件反射制御法で実施している下総精神医療センターの平井愼二氏、警察から紹介されたストーカー加害者を外来で受け入れている医療法人社団ほっとステーションの長谷川直実が実践内容について報告する。
 小早川氏のヒューマニティでは被害者の相談にも加害者の相談にも対応している。被害者と加害者の間に介入して、事件化を防いでいる事例も多い。ヒューマニティでも対応が困難であり、行動嗜癖としてのストーキング行為が止まらない事例について、下総精神医療センターで治療を引き受けている。ほっとステーションでは、ほとんどが北海道警察の勧めにより治療の同意を得られた人であるため、ヒューマニティや下総精神医療センターよりも、一般精神医療に近い事例が多い。
 またこの他、警察庁の担当者にも登壇してもらい、これまでの警察の取り組みや精神医療に望むことを話していただく予定である。