第119回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム97
地域創りは長期在院者の退院支援から

2023年6月24日(土) 10:45 〜 12:45 M会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G411)

司会:高橋 恵(北里大学北里研究所病院), 加瀬 昭彦(医療法人積愛会横浜舞岡病院)
メインコーディネーター:浅見 隆康(群馬大学健康支援総合センター昭和健康支援室)
サブコーディネーター:高橋 恵(北里大学北里研究所病院), 植田 俊幸(鳥取県立厚生病院精神科)

 精神科病院に1年以上継続して入院している人たちが、未だに60%以上を超えている。国は病床削減のためにさまざまな施策を打ち出しており、医療の現場では、長期在院者の退院支援が喫緊の課題となりつつあるが、長期在院に至る理由として、精神症状、問題行動、家族との調整、受け入れ先の確保などが指摘されており、このような状況の中、本人が退院に向け多職種チーム医療を積極的に活用するためには、様々な工夫が求められる。このような工夫を紹介し合い、自分たちの現場に持ち帰り実践を積み重ねていくことが、良質な精神科医療の展開に繋がることとなる。
 そこで第119回総会では、シンポジウム「地域創りは長期在院者の退院支援から」を企画し、長期在院者の退院支援についての方法を検討することにした。内容は、1)倶知安厚生病院における取組みを通じ、長期在院者の退院支援の意義と課題について紹介する、2)北海道十勝地方において、一般社会資源の活用と精神保健福祉医療、官民協働等の創意工夫を20年以上にわたり行い、6精神科病院1,012床を4精神科病院376床4クリニックに変えた実践を説明する、3)SST普及協会出前講座「個別支援SSTにより、一段と回復を促進する講座」を紹介する。閉鎖処遇が継続し、時々隔離を必要とする事例につき、その関わり方を考え、個別支援SSTを活用し関係を作る糸口を見つける方法について学習する、4)コミュニケーションスキルを学ぶ方法として、大塚製薬とジョリーグッド社で共同開発したSST-VRを紹介する、5)退院と地域生活支援のために、インフォーマルサービスを含めたさまざまな地域資源と連携して、医療ケアに偏らない支援体制を構築するのに必須となるケアマネジメントの手法の紹介、である。
 このシンポジウムを通じ、いろいろな場において、長期在院者における退院支援の工夫が一段と進んで行くことが期待される。