○山田 敦朗 (名古屋市立大学病院)
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ワークショップ
ワークショップ1
精神科診療における男女差を深掘りしてみよう ~疾患における男女差と治療者の男女差について~
Thu. Jun 22, 2023 8:30 AM - 10:10 AM L会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G401)
司会:平山 太日子(名古屋市精神保健福祉センター精神保健福祉施策推進参与), 梅田 寿美代(住友病院メンタルヘルス科)
メインコーディネーター:榎戸 芙佐子(医療法人社団和敬会谷野呉山病院医局)
サブコーディネーター:安川 節子(熊本ファミリーメンタルクリニック)
委員会:男女共同参画委員会
従来、精神医学の分野においては、妊娠・出産、月経に関連する女性特有の疾患や、摂食障害、うつ病、PTSDに多いとされる疾患がある。前者の女性特有の精神疾患については、これまでも当委員会が『周産期・妊娠・出産』をめぐり精神科医療の充実と知識を深めるシンポジウムを企画してきた。今回は、後者の疾患における有病率の男女差について、整理しておく必要があると考え、ワークショップを企画した。
精神科が他診療科と違うのは、生殖器構造・組織と内分泌作用といった生物学的差異だけに基づく医療を行うのではなく、ものの感じ方、考え方、反応性、認知、行動といった大脳の働き・関与を考え扱うからに他ならない。当然そこに性差はあり、ゲノムの関与や性ホルモンの影響は免れないものの、そのどこまでが生物学的要因でどこまでが時代や文化・社会・教育的要因なのかを到達できる現時点において明らかにしておく必要があるだろう。また、これとは別の文脈で、患者さんが女性医師を希望する(あるいは忌避する)場合も多い。その理由についても、単なる好みの問題、あるいは偏狭な固定観念だと簡単に片づけずに、医師の役割・態度として大切なのは何かを真摯に捉え、参考にしなければならないだろう。
今回はワークショップ形式なので、代表的な疾患を2例あげ、夫々において、①女性に有病率が高い理由、もしくは症状に現れる性差を精神医学の観点から述べ、次いで、②治療経過において現れる女性患者と男性患者の違い、あるいは治療法の違いについて述べてもらい、さらに、③治療者が男性と女性では、治療経過や成績、予後で差異があるかどうかをメリット、デメリットとしてシミュレーションしてもらう。ワークショップなので、登壇者間および会場から自由で開かれた意見交換と議論百出を期待し、そのこと自体が参加者にとって学びのよろこびとなり、新たな治療手段のヒントともマンネリからの打開策ともなることを願うものである。さすれば、性差を超えたところのより良い治療者となる糧となるのではないだろうか。時間が制限されているので、参加者をグループに分けて討論してもらう形式や、ファシリテーターの指名なども考えられる。
なお、今回の症例は、A.摂食障害、B.身体化障害の2例である。症例は実臨床例を参考にした架空例をプロトコルとして提出してもらう。
<摂食障害の治療は今や認知行動療法と身体管理が主流となり、そこに男女差は顧慮しなくてすんでいるかのようだが、患者は圧倒的に女性であり、しかも若年から高齢まで広範囲に発症している。身体化障害は発症の背景に虐待やハラスメントなどの存在が考えられるが、治療への気づきや工夫、注意することなどが多々ある。>
○榎戸 芙佐子 (医療法人社団和敬会谷野呉山病院医局)