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ワークショップ

ワークショップ4
統合失調症とパーソナリティー障害との鑑別が難しい精神鑑定事例

Thu. Jun 22, 2023 3:30 PM - 5:10 PM L会場 (パシフィコ横浜ノース 4F G401)

司会:田口 寿子(神奈川県立精神医療センター), 村松 太郎(慶應義塾大学医学部精神神経科)
メインコーディネーター:五十嵐 禎人(千葉大学社会精神保健教育研究センター法システム研究部門)

委員会:司法精神医学委員会
オンデマンド配信対象外

 刑事責任能力の判断とは、「精神の障害」により、「理非善悪を判断する能力」(弁識能力)や「それに従って行動する能力」(制御能力)がどのような影響を受けていたのかに関する法的判断であり、最終的には司法による総合的な判断に委ねられるものである。精神鑑定は、司法がそうした判断を行うための参考資料を提供するために行われる。司法の判断に資するために行われる今日の精神鑑定は、可知論的なアプローチを基本としており、鑑定人は、被鑑定人について診断を確定する(生物学的要素)だけにとどまらず、被鑑定人の犯行当時やその前後の精神状態について、細かに聴取・分析したうえで、犯行当時に罹患していた精神障害のどのような症状が、どのような仕組みで、犯行時の被鑑定人の行動や判断に影響を及ぼしていたか(心理学的要素)を詳細に検討することが求められる。
 また、重大な他害行為を行い、心神喪失等を理由に刑を免れた精神障害者を対象とする医療観察法でも精神鑑定(医療観察法鑑定)が実施される。医療観察法鑑定では、医療観察法による医療の必要性が中心となるが、責任能力についての意見を求められることもある。
 これまでの学術総会で開催された当委員会企画の精神鑑定事例に関するワークショップは、多数の会員が参加するなど好評であった。今回は、統合失調症などの精神病性障害とパーソナリティー障害との鑑別診断が問題となった精神鑑定事例に関するワークショップを企画した。最初に精神鑑定における精神科診断の意義や医療観察法の手続きとそこでの鑑定についての解説を行なう。次いで、統合失調症などの精神病性障害とパーソナリティー障害との鑑別診断が難しかった医療観察法事例について詳細に提示したうえで、刑事精神鑑定や医療観察法による医療の経験が豊富な医師に提示事例に関するコメントを求める。さらに、それらをもとにフロアとも事例に関するディスカッションを深める予定である。こうした作業を通じて、刑事精神鑑定や医療観察法鑑定における精神科診断の意義と責任能力判定のポイントを明らかにすることとしたい。