第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム18
「医療保護入院」について

2024年6月21日(金) 15:40 〜 17:40 K会場 (札幌コンベンションセンター 2F 206会議室)

司会:田口 寿子(神奈川県立精神医療センター),太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
メインコーディネーター:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
サブコーディネーター:田口 寿子(神奈川県立精神医療センター)

委員会:精神保健福祉法委員会

令和3年10月、厚労省は「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会(以下、安心検討会)」を発足させ、今次の精神保健福祉法改正に向けた議論を始めた。当初安心検討会の資料の中には、医療保護入院に関して「廃止も視野に入れた」議論が始まるかと思われる記載も見られた。しかし令和4 年12 月に参院で採択された精神保健福祉法改正案の中に、医療保護入院に関連した改正項目は少なからず含まれていたが(①入院時告知の項目に「入院理由」を加え、家族にも告知、②虐待の加害者である家族は入院に同意する「家族等」になれない、③医療保護入院の期間の法定化、④入院者訪問支援事業の開始、⑤家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合の取り扱い、など)、安心検討会の中で医療保護入院の廃止に向けた本格的な議論が深まることはなかった。当委員会は、これまで数次の精神保健福祉法改正に当たって精神保健福祉法の問題点を指摘し、法の見直しを求めてきたが、その中でも医療保護入院制度の持つ問題点は繰り返し指摘してきている。令和4 年9 月28 日に発出した学会見解においても「家族同意の廃止」と「非自発的入院における国と自治体の責任の明確化」を求め、「将来的には措置入院と医療保護入院を一本化した強制入院制度を検討すべき」と述べた。また令和4 年9 月9 日、国連・障害者権利委員会はわが国に対して障害者権利条約に基づいて最終勧告を出したが、その中でも医療保護入院という制度は厳しく批判されている。国内においても日弁連は令和3 年10 月の第63 回人権擁護大会において医療保護入院を含む精神科における強制入院制度廃止に向けた作業行程を示した。このような現状を踏まえて、当委員会は札幌総会において医療保護入院をテーマとしたシンポジウムを開催したいと考えている。